不死鳥で独占欲の強い彼とオタクで冴えない彼女は：番外編 4

狂う 18 ページ30

Aは、何笑ってるんですか、と
少し不満そうに頬を膨らます
可愛らしい彼女の姿に堪らなくなって
ぎゅ、と優しく抱きしめる

Aも俺の背中に手を回した


「今の貴方が・・私、大好き」


「・・・・どうしてだよぃ」


ぐり、と彼女の肩に顔を埋めて
弱気な声で、そう問うと
彼女は少し間を置いてから答えた


「誰かの幸せを、いつも
一番に考えてくれる優しいところ」


「・・・身に覚えがねぇな」


「・・私が、最初にこの世界に来た時
覚えてますか・・・?
貴方は、自分の想いより
私の幸せを願って
元の世界に帰してくれた・・」


「あの時ほど、酷く
後悔したことはねぇよぃ」


「ふふふ・・・」


何も言うことなく、彼女は
背中に回していた小さな手を
今度は頭の方に回して
なで、と髪の毛を撫でられる

たった、これだけのことで
俺の心を満たしてくれる
あぁ、喉の渇きが水を得て
癒えるように、俺の心も癒された


「敵わねぇな・・・」


「ん?」


「こっちの話だよぃ」


俺は彼女の首に繋がれた枷を掴んで
パキィン、と静かに壊した


「痛いところあるか?」


「ん、大丈夫です」


「・・・手首も、失礼するよぃ」


手首の枷も同様に静かに壊して
部屋の床に枷の残骸を投げ捨てる


「あ、ほんとだ
枷の痕がついてないです」


「き、聞いてたのか」


「えへへ」


彼女は解放されると否や
俺の体に身を乗り出し
太ももの上を跨って
ぎゅうと抱きしめた


「A・・・どうしたよぃ」


「・・・これ、言ったら
怒られますかね・・・」


「言ってくれ」


「う〜ん・・・」


「なァ」


彼女の腰に手を回して
撫でまわしていると
Aが恥ずかしそうに声を
抑えながら、言ってくれた


「・・・その、昨日の、してる時が・・
き、気持ち良かった、な、なんて」


「・・・・・・・・・・・・」


怒った?、と心配そうに
Aは俺の顔を覗き込むと
途端にかぁぁっと
顔を真っ赤に染めていく

コイツは、まったく
可愛くって仕方がねぇ・・

腰をガシッと掴んで
ちゅ、と額にキスを落とした


「えっちな女だよぃ・・・」


「う、や、やっぱ、忘れて!」


「無理だ、分かるだろぃ」


ぐっ、と彼女の腰を強く
俺の、熱を帯びて
硬くなった部分に押し当てる
彼女は気が付いて
また一層に顔を赤くした


「だ、だめ・・・ッ・・」


口ではそう言いつつも
顔を近づければ
彼女は観念したように
目を閉じて、俺の唇を待った

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