びいだま【オリジナル】 (ページ11)

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放課後、彼は案の定いなかった。
きっと、返事をしに栗田さんに会いに行ったのだろう。
帰ろう。一人でいたい。
彼の靴箱を見た。無意識に。
どうして見ちゃうんだろうね。もういないって、2人でどこかに行ってるって分かってるのにね。
でも、彼の靴箱には、まだ靴があった。

階段の方から男女の声がして、思わず隠れた。
聞き覚えのある声だった。

「え、じゃあ…」

「うん、よろしくね。」

見ちゃいけなかったんだ。
彼と栗田さんだった。

家には誰もいなかった。
あの2人…
彼は、笑ってた。幸せそうな笑顔だった。
手の甲に涙が一粒落ちた。

馬鹿だ。
すぐかんしゃく起こす女子に誰が近づくっていうの？私は誰かを好きになったらいけない。
昨日、一昨日まで彼の1番近くにいたのは私だよ？なんで、なんで…

ー俺が大切にする。だから泣かないで。

あの約束は？
お互い守れてないよ。あっちは別の子を大切にして、こっちはすぐ泣く。

「ああああああっ」

ガシャン

とっさに投げた花瓶が割れた。
破片と花と水が散る。
また、壊してしまった。
花瓶も、彼との関係も、ボロボロ。
もう、私の力じゃ治せない。捨てるだけ。

「ただいま…って、メイ！どうしたの、お花！」

お母さんが帰ってきた。
なんで今…

「どうしたの？泣いてるの？」

「お前に関係ねーよ！！」

「メイ…」

「なんでなの？！私はどうすればいいの？！」

「…」

「んあああああっ！」

ドンッ

靴箱を蹴ったら穴が空いた。
どうしようもなく、涙が出てきた。

「…っ、ああ…っ、ううっ」

お母さんは哀れみの目で私を見てた。
もうどうしようもできないっていう感じで。