あんスタ短編 (ページ44)

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休息(章臣)① ページ44

多忙と言われる社会人の月末―

それは、プロデュース業も変わらず…

「ただいま戻りました」

撮影やら収録やらを巻いて渡り歩き、やっとの事でビルに戻ってこれたのが夜の23時
私の仕事はこれからが本番で、デスクに戻れば紙の束

「よし、やるか」

空けていたのはものの数日。
企画案に、衣装のデザイン、使用予定の会場の詳細。
目を通すだけで終わるものから、補足を加えアイドル達に渡すもの、書類をまとめてデジタル化するものと、様々な内容が束ねられていた

(これは山超えちゃうな～…)

黙々とパソコンに向かっていると、気づけばフロアの人はかなり減っており、明かりが点々としていた。

「ふぅ…ちょっと休憩～」

立ち上がって伸びをした所で、デスクに置いていたホールハンズが震えた。

「お疲れ様です…Aです」

『Aさんお疲れ様です。…おや、声が疲れてますねちゃんと休んでいますか？』

「え、椚先生？」

(やば、この時間だから先方ではないと思って油断して誰からかも見ず取っちゃった！)

『…はい。その様子だとまだ残業中の様ですね？』

「…はい、もうすぐ終わる所です。ところでこんな夜中にどうかされましたか？」

(なんかやっちゃったか…？)

『…今日はもう上がりなさい。帰宅してゆっくり休む事も仕事のうちですからね？話はまた明日です』

少しだけ心配そうな声が聞こえたかと思うと、言い聞かせるような優しい声が聞こえた。

「すみません、分かりました」

一言二言交わすと、そのまま通話を切った

「明日…怒られるかな…」

不安を抱えつつも、そそくさと帰り支度を始め、徒歩圏内の自宅へ帰宅した。

「ただいま～…って誰もいないか」

『おかえりなさい』

まさか！と顔を上げると、そこには章臣さんがいた

「なっ章臣さん？なんでここに？！」

夜中だということも忘れて玄関先で大きな声をあげてしまった。

『大切な恋人がこんな夜中まで残業しているのに、心配にならないはずがないでしょう。どうぞ、こちらへ』

差し伸べられた手を取ると、そのままリビングを抜け、寝室まで手を引かれた

「あ、あの…やっぱり怒ってます…？」

無言のまま振り返ると、気づいた時には章臣さんの匂いに包まれていた

『怒ってはいませんが、心配はしています。貴方は気づけば無茶ばかりなので体調を崩さないか冷や冷やしてます』

包まれた腕からは温かい体温が伝わり安心した

「章臣さん…ごめんなさい」

そっと抱きしめ返した