第7話 ページ7
「A、駄目だ!」
『太宰…さん?』
随分と早いな。きっと焦って追いかけて来てくれたのだろう。けど
『異能力__山椒魚』
ごめんなさい。私にはこの人を見捨てるなんて出来ない。
「A!異能力__人間失格」
異能力を使ったが少ししか治さないまま太宰さんに掴まれた。
『太宰さん辞めて下さい。離して!今私が治さないとこの人は今じゃないと…与謝野さんが来るまで待っていられない!』
「A落ち着いて、この人は大丈夫だ。銃で撃たれた訳ではない。与謝野さんも直ぐに来るから」
私はもうパニックになっていた。太宰さんが何を言っているかも分からなかったし、如何して止めるのかも分からなかった。
『今助けないとまた、また目の前で人を…死なせてしまう。だから離して!私はどうなっても良いの!だから…』
そんな私に太宰さんは
「織田作はAがどうなっても良いと思うかい?思わないに決まっているだろう!」
怒鳴った。
「織田作はきっと、君の事を何より大切に思っていたのではないのかい?だから!君はいつまでも彼を信じて待っていられる。それなのに…
どうなっても良いなんて言わないでくれ」
こんなに感情的になっている太宰さんは初めてみた。それ程心配してくれているのが分かる。けど
『如何してそんなに心配してくれるんですか?』
「それは…」
言葉の続きは聞けなかった。与謝野さん達が来たからだ。
「怪我人は一人だけかい?」
「はい…」
気がついたらもう一人の人は居なくなっていた。大方探偵社にバレたらまずい非合法組織の一員だったのだろう。
そんな人を助けようとした私は可笑しいのだろうか?
その人を自分の命をかけてまで助けようとした私は可笑しいのだろうか?
『可笑しくない』
ポツリと呟く。
可笑しい訳がない。だって織田作さんと約束したんだから。「人を救う」って。
だから…私の選択は間違ってはいなかった。
『太宰さん。私は間違った事はしていないと思います。人を見捨てるなんてしたら…帰って来た織田作さんに怒られてしまいますから。』
自分に言い聞かせるように言うと、太宰さんは複雑な顔をしていた。
23人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
果汁ジノ%(プロフ) - ゆかりちゃん、やっぱり凄いなぁ……順位40位おめでとう( ´ー`) (2018年6月23日 14時) (レス) id: a6a058aaa7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆかり | 作成日時:2018年6月16日 23時