ページ62 ページ19
紗姫side
「彩は、感情を失くしてしまったの。
彩が病院で目覚めた時、あの子はもう既に感情を失っていた。
笑いもせず、怒りもせず。全ての感情を失くしていたの。
それだけショックを受けたのね」
「ちょっと待って下さい。彩は私達といる時、笑ってましたよ?
・・・時々でしたけど」
「それはたぶん・・・愛想笑いの類だと思うわ」
あ、愛想笑い?
「彩はね、こういう家に生まれて、たくさんの人達と関わってきたの。
だから愛想笑いもあの頃はもうお手の物だった。
彩は恐らく、雰囲気で笑ってたと思う」
あれが、愛想笑い・・・
「風神学園の、生徒会メンバーでしたっけ?
そいつらは知ってるんですか?彩の事」
「わからない。彩はあの子達と関わるにつれて
風神学園の子を彩は信頼しているように見えた。
だけどそれは私の思い違いだったみたいね」
「な、何でそんな事わかるんですか?」
「だって彩、“信頼”なんて言葉大嫌いなんだもの」
信頼が、大嫌い?
「彩は何回も裏切られて、大切な人が死んで
信頼なんてゴメンだって思ったのよ。
だから彩は「一生人なんて信頼しない」って言ってたの」
私達はこれ以上何も言えなくなってしまった
だけど、これだけは、これだけは聴かないと、と思って口を開いた
「あの・・・その生徒会メンバーは
彩を、彩を信頼しているんでしょうか?」
その時初めて真夜様が心から笑ったように見えた
「えぇ。彩とあの子達が一緒にいる所を一回だけ見たことあるの。
とっても、とっても幸せそうに笑ってた。愛想笑いじゃないと思う程にね」
・・・。
全ての話を言い終えると、真夜様は真剣な顔になって告げた
「紗姫、祐飛、蓮。あなた達を今日を持って彩の専属執事の任を解きます。
そして金輪際彩に近づくことも、話しかける事も禁止します」
「・・・はい」
私達3人は素直に頷いた
正当な処罰だと思ったから
「・・・ま、でも彩に近づくことも、話しかける事も無理だと思うけどね」
え・・・?
「彩に説明されたんだけどね。
彩、あの子達と約束したんだって。
「もし私を見つける事が出来たら、その学生が終わるまで学園にいる」って」
どういう事?
私が不思議そうな顔をしていたのか、真夜様はクスッと笑った
「要するに、小学生の時に見つかったらそのまま小学生が終わるまで。
中学生の時に見つかったら中学生が終わるまでね」
28人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「探偵チームKZ事件ノート」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:天奏 | 作成日時:2019年3月3日 5時