【赤羽業】私は……妖狐

妖32 ページ35

維波side

「ほら、読めるでしょ?」


そう、耳を掠る甘く
低い声に肩が跳ね､

今すぐ顔を逸らしたい衝動に
駆け巡られる



けど、琥珀色の綺麗な瞳に
見据えられ､

まるで金縛りに有ってるかの様に
その衝動に従う事何て出来なくて…､

目と目が合い、視線が交わり、鼓動が速まる



ﾄﾞｸﾄﾞｸﾄﾞｸﾄﾞｸ…鼓動の音



ﾁｸﾀｸﾁｸﾀｸ…時計の音



部屋に響く
一定のリズム



目の前には妖美な笑みを
浮かべてる赤羽様



何で…､こんな状態(事)になったんでしょう…?

〜〜…

遡る事数時間前

赤羽様が唐突に言い放ったひらがなテスト宣言から1週間

テストと云う存在は故郷にもあったけど受けるのは初めてなのでドキドキが止まらない


「A緊張してんの?」


ひょこっといきなり顔を覗かせて来た赤羽様に少しだけ驚き､首を縦に振る


『は､ぃ…｡初めて､なの…で…､ドキドキして…ます』


至極真面目に答えたにも関わらず「んな緊張しなくて良いと思うけどね〜」とカラカラ笑う赤羽様


『初めてですし…､緊張せずにはいられませんよ』


他人事だと思ってる(かもしれない)赤羽様にちょっとムッとし、顔を逸らした

途端 赤羽様が急に屈み､口元を抑えﾌﾟﾙﾌﾟﾙ震え出す

ぉ、怒らせちゃった…?


『あの……ｯ』


不安になり、恐る恐る赤羽様に手を伸ばせば､グッと腕を引っ張られた為顔が……近い…


「たっく…一々可愛い動作しちゃってさぁ…その上隙だらけだし…」


ぶつぶつ、御1人で喋る赤羽様

静かに喋り終えるのを待ってれば赤羽様は「まぁ良いや」と手を離す

熱を浴びてる腕の一部分
赤羽様に掴まれてた場所が…

熱い…

ﾄﾞｷﾄﾞｷ…うるさい鼓動



「どうかした?」と訊かれ､
左右に首を振るので精一杯


「時間も時間だしそろそろ始めよっか。俺がノートに単語書いてくからそれ読んで。解んなかったら何かしらの意思表示お願い。記録するから」

『はい』


こくこく頷き､隣に腰降ろした途端赤羽様のお顔が真剣になりノートにペンを滑らす

私も…､集中…

＊

「ラスト問題ね」


赤羽様のその御言葉で軽く息を吐く

意外と…疲れます…

今一度息を吐き､隣に居る赤羽様を見ると同時に「で〜きたっ」と満足声

ノートに目を移し､即座に椅子から立つ



こんなの…口に出来ないよ…







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あかばねさま、だいすきです

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