【赤羽業】私は……妖狐

妖33 ページ36

維波side

「逃げちゃダ〜メ」


取り敢えずは赤羽様から放れ様と試みたけど手首を掴まれ逃走失敗

1日に二度も筋肉を弄ると配列が悪くなると教わった為赤羽様の筋肉を弄る事は出来ない

かと言って力で赤羽様に敵うとは思えないし…

どうしましょう…

逃げる策を練ってる間に､赤羽様に手首を引っ張られ腰を引き寄せられ密着………………逃げるのが困難になった

耳元に赤羽様が口を近付け…､囁く


“ほら、読めるでしょ?”


−−…

成程…それでこんな状態に…

一通り思い出し、納得

そんな…納得してる暇何てないですけど…


「ちゃんと濁点も読める事知ってるんだから。読んでみて?」


低く、でも甘いトーンで耳元で喋られ、ｿﾞｸｿﾞｸする感覚

一瞬でも気を抜けば座って終う

最も、赤羽様が座らせて下さらないだろうけど…


「1回で良いんだよ?ほら、…早く」

『む…無理…です…』


何とか絞り出した声で無理だと言うも、赤羽様は「嘘は感心しないな〜」と、


『ぅ、嘘ではありま「嘘だよ」』

「Aは素直だからテスト中､解んないのが出たらちゃんと“解りません”つってたし無理なら文字を見た瞬間椅子から立つ訳ないし」


赤羽様は一呼吸置いてから「それに、何より、」と､話を続ける


「Aが読めなかったのは“や”、“わ”、“を”、だけ。ちゃ〜んとっ､記録してんだから」


赤羽様が片手でヒラヒラと掲げてるノートに達筆な字で記録されてる私が読めなかった 字や単語

赤羽様はニンマリ笑って､「これが､ショーコッ」と


「証拠もあるしさっさと言ったら?」

『ｯ…ゃ…です…』


付け根を指先でなぞられ､声を我慢しながら赤羽様の胸板を押す

…ビクともしない


「…」


突如､ｷｭｯと軽く尾を握られた

何の前触れも無かった為変な声が出､全身の力が抜け赤羽様に凭れ掛かる

御顔を見なくても判る程
ニヤニヤしてる赤羽様

視線を変えた先に映ったのは再び尾を握ろうとしてる赤羽様の片手

急いで掴み､止める


『ぃ…､言いますから……止めて下さぃ…』


最後が小さくなったがちゃんと赤羽様に届いた様で、赤羽様は手を引っ込めた




ﾄﾞｸﾄﾞｸﾄﾞｸﾄﾞｸ…速い鼓動



一定のリズムで刻まれる
時計の針



それはまるで…“早く言え”
と、急かしてる様


『ぁ…かばね……さま…､』


顔を上げ､
赤羽様と目を合わせる



たった一文
されど一文



緩まない鼓動
緩む事を知らない鼓動


『…大､好……き………です…』





加速

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