【赤羽業】私は……妖狐

妖20 ページ22

維波side

「ビールあるか?ビール」

『びいる?』


再び聞き覚えのない単語
首を傾げる


『すみ…ません…。“びいる”と云うのが分からなくて…御紅茶ならその…』


最後迄喋らず視線を下に向けると「そうか。紅茶で良いぜー」と許可を出して下さる目付の悪い方

一礼して紅茶を淹れる


『どうぞ』


淹れ終え､男性の前に紅茶を置くと男性から「嗅いだ事ない香りだな。何処のだ?」って質問


『私の､故郷の紅茶です。……もう…消滅してるかもですが…』

「何か悪い事訊いたみてぇだな…。隣座れよ」


隣をボフボフ叩かれ『失礼します』と断ってから腰降ろす


「嬢ちゃんは何で此処の奴が何時に帰って来るか知ってんだ?」


男性の質問に『直接本人に訊きましたので』って答えると男性は「直接本人に?!」と驚く


「嬢ちゃんの容姿なら有りかもしれねぇけどさ!!まさかの本人に訊いたのか?!」

『はい』

「マジで?!会ったばかりの奴に?!家に侵入する奴に?!」

『？普通に入れてくれましたよ?』

「普通に?!嘘だろ?!」


有りの儘御答えすれば「俺等みたいな奴を普通に入れるとか此処の奴大丈夫かよ!?」と男性は赤羽様の心配


『赤羽様なら､大丈夫ですよ?御優しいですし』

「優しいは関係ねぇだろ。てかお前さっきから何で様付けてんの?その赤羽って奴ァ俺等の敵だぜ?」

『て…き…?』


赤羽様が…?


『どうして…ですか…?』

「どうしてってそりゃあ…」


男性は考える素振りをし「俺等がこの家に入ったからだろ?」と教えて下さる

意味が判らない


「嬢ちゃんも､気の毒になぁ」


男性の発言に､再び首を傾げる

何でしょう…この方と少し､話題が噛み合ってない気が…


「俺も嫁と色々あってさぁ……ん?何か体が怠くなって来た…」

『大丈夫ですか?』


急に顔色が悪くなって来る男性

ソファーから立ち､横になる様男性を誘導


『あの…?』


にも関わらず男性は横にならないで私の手首を掴む

首掴まれた事はあっても手首掴まれた事何てないのでちょっと､困る


『どうしました?横になった方が良いですよ?』

「嬢ちゃん。膝枕してくれ」


「嬢ちゃんに膝枕して貰った方が直ぐ治る気がしてな」と付け加える男性

それなら…


『判りました』


直ぐ治るなら…

もう一度ソファーに座り男性の頭を乗せる

男性は呆れた風に「やっぱ嬢ちゃん､この職向いてねぇよ」って仰ったけど職と云う意味が分からないので無視

窓から見える景色
雨



赤羽様､早く帰って来ないかな…

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