【赤羽業】私は……妖狐

妖19 ページ21

維波side

赤羽様が､外出される際
言われた事は全部で3つ



1つ目
“ピンポン”と云うのには出ない事



2つ目
赤羽様以外の方から電話が掛かって来たら無視



3つ目
万が一の事も有る為､家から出ない事



最後の1つは、
特に念を押されたので“必ず”と云う事が判る



破ったら､駄目

絶対忠実


“破ったら､オシオキ、ね?”


そう､外出なさる際耳元で
言われた言葉が､脳内でリピート



私の本能が
“破ってはいけない”と、言ってる



遠慮気味に御願いされた家内のお掃除は
済ました為､やる事がない

昔から､「“時間”には限りがあります。大切な“時間”を､無駄にせず､有効に使いましょう」と教わって来たので､袖から本を取り出し､読書

＊

読書を始めて
1時間半弱



中盤迄読んだ時
扉が開く音

あれ…?鍵､閉めてなかったっけ?それとも赤羽様がもう帰宅なさったとか?

今読んでた所にレリフを挟み
ベッドから立ち赤羽様の部屋を出て下へ

＊

『えっと…何方様ですか?』


階段を降りた先には
顔マスクをしてる見知らぬ男性



嗅いだ事ない香の為
主人の遣いの方ではないと判断



男性はチｯと
舌打ち


「んだよ人居んのかよ。嬢ちゃんには悪いが少し眠っ『赤羽様の御家族ですか?』あ?」


私はまだ､赤羽様の
御両親しか知らない為確認



先走り､赤羽様の御家族を
傷付けて終っては大変だし


「違うけど何?お前は…あー…此処の家の者じゃねぇの?」


マスクの方の質問に
首を横に振る


『私は昨日ばかしこの家に入った､維波Aと云う者です』


私の返しにはぁ…と息を吐くマスクの方


「んだよ同業者かよ…」


マスクの方は､唯一の取柄､顔マスクを取りあからさまに安心の色を浮かべる

マスクさんの素顔は色黒で
あまり目付が宜しくない


「にしても､まぁ､大変だな。お嬢ちゃんみたいな子迄こんな事してかねぇと生きていけねぇ世の中になったとか」

『良く､意味が判りませんが､御茶にしますか?』

「…は?」


男の方は瞬きをし「いつ此処の住人が帰って来るか分かんねぇ状態でゆっくり茶何て出来る訳ねぇだろ!!」と､大声を出す


『ぁ…ご､ごめんなさい…』

「あー…や､此方こそいきなり怒鳴って悪かった。だがいつこの家の奴が帰って来るか判らない状況で茶を啜ってる暇何て…『？赤羽様でしたら、4時ちょっとに御帰宅なさりますよ?』あんのかよ!!」


男の方が再び大きな声を出した為肩が跳ねる



耳､痛くなるから小声で喋って欲しいな…

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