【赤羽業】私は……妖狐

妖21 ページ23

維波side

爆睡なさった男性の頭を、“早く具合良くなります様に”と、軽く願いを込めて撫でる

本気で､力強く願ってないから､叶わないかもしれないけど…


「んあﾞ」


大変寝顔と寝相が悪く、何度も
ソファーから落ちそうになる男性



その度私は､男性が落ちない様
大きな体を腕が届く範囲で支える

ｶﾞﾁｬｯと扉が開く音

ぁ…また鍵閉めとくの忘れてた…

時計を確認すればもう4時ちょっと

て事は赤羽様が帰宅…御出迎えに………ぁ

立ち上がろうとすれば
気付く



男性が膝の上に頭乗せてる為､
立てない

立てない事もないけど…立ち上がって頭を落とすのは気が引けるし……どうしましょう…

悩んでた時「A?!」って切羽詰まった様な声と共に開かれたドア

赤羽様は､焦った顔から「……は?」と､訳分からなさそうなお顔に変化


『あ、赤羽様､御出迎え出来ず申し訳ありませんでした』


座りながら頭を下げる

一歩、一歩、此方に歩む赤羽様

無言で来る為
少し､怖い



赤羽様は､私の目の前から
一歩､横に逸れる

静かに脚を挙げた赤羽様



赤羽様は
その足を＿＿…


「ｸﾞﾊｯ!!?」


その足を…男性の御腹に
振り下ろした


『赤羽様?!』

「A､其処の窓開けて」


突如来た命令

取り敢えず命令なので､男性の頭を横にずらし､立ち上がって首を傾げながら窓を開ける

途端 額に当たる雨粒

雨…凄い…


『赤羽様。開けまし…赤羽様?!』


報告しながら振り向くと､目に入ったのは未だ眠っている男性の胸倉を掴んでる赤羽様

赤羽様は無言で男性を引き摺り､此方に来､止まる


『赤…羽様?』


迫力満点
赤羽様は目の前で停止



赤羽様のお顔には
何だか余裕がなくて…


「…退いて」


低く､短い赤羽様からの命令に
何も言わず一歩､横へ



横にずれた瞬間 赤羽様が「えいっ！」と
裏声を出し窓から男性を放り投げた

素早く窓を閉める赤羽様


「よしっ」

『満足顔しないで下さい!!こんな雨の中外に出しては水浸しになりますよ?!』


赤羽様は訳が分からなさそうに「それが?」と首を傾げる


『……あの方､具合が宜しくないんですよ…?』


自分で判る程震えてる声に､赤羽様は「具合が悪くても犯罪は犯罪だよ」と

犯…罪…?


「そんな事より…」


一歩､歩を進める赤羽様から､一歩､後退る

何でしょう…


「御主人サマが不在の間」


一歩､一歩
後退る先には

何だか…


「あの男と…何してた?」


行き止まり
逃道がない



赤羽様が…怖い…

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