命の恩人 ページ41
〜中也side〜
「……は?」
俺に太宰を殺して欲しくなかった……?
「そりゃどういうことだ?」
俺は疑問をそのまま口にした。
「だって……太宰は私の命の恩人」
「……!」
なるほど、な。
Aが10歳のとき、殺されそうになっていたところを、太宰と俺が助けた。
そのときに首領がこいつを拾ったのだ。
だからこいつは首領と太宰と俺のことをずっと『命の恩人』と言っている。
「…あの時お前を助けた太宰を俺に殺されたくなかった、というわけか」
「うん。それに中也だって私を助けてくれた。私を助けてくれた人同士に本気の殺し合いをして欲しくなかったんだ」
俺はそれを聞いて、少し申し訳なくなった。
「…わりぃ」
「謝らないで。別に中也のせいじゃない。それに…」
「それに?」
「私だって太宰をワザと逃した。中也はそれをナイショにしてくれるんだから、お互い様だよ」
「はっ、そうだな。まあ首領だって別に怒りゃしねえと思うけどな」
「鷗外は私に甘いから」
「確かに。お、そういえば芥川たちは人虎を捕らえたのか?」
「うん、今度こそ成功したみたいよ。だから今頃密輸船の中じゃないかな。でも…」
「何か気掛かりなことでもあるのかよ?芥川はマフィアの中でもかなり強いから心配なことはねえと思うけど?」
「多分だけど…鏡花ちゃんがマフィアを裏切ると思う」
「鏡花?ああ、芥川のところの小娘か」
「そう。彼女、私と違ってマフィアに利用されているだけ。マフィアに所属する私が言うのもなんだけど、少しかわいそうな気もする」
「まあな。だがマフィアを出たとしてもあいつには行き場がねえ」
「ふふふ、芥川も多分同じことを考えているだろうね。でもね、きっと彼女は探偵社に入るよ」
「探偵社!?」
「うん。太宰ほどじゃないけど私の予言も当たるよ?」
「はっ、太宰並みに当たるっつーの、お前の予言も。だが鏡花が裏切ったら、下手すりゃ人虎をまた逃しちまうかも知れねえな」
「確かに、まあ私は人虎に大して執着してないからいいけど」
「おいおい……まあとりあえず、執務室に戻るか」
「うん!」
そういうわけで、俺とAは日常へと戻っていった。
作者より)今回は、ほんの少しだけAちゃんの過去、出しました。またいつか過去編やります!
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ユイ(プロフ) - konohaさん» konohaさん、もう見てくださったのですね!ありがとうございます!紅葉姐さんの口調、難しいです(ー ー;)これからも頑張りますので、よろしくお願いします! (2016年3月9日 14時) (レス) id: c73290e85b (このIDを非表示/違反報告)
konoha(プロフ) - ユイさん» 参加して下さりありがとうございます!早速見に来ました〜!まだ途中までしか見ていませんが、紅葉さんの口調がとてもいいですね!これからも更新頑張って下さい!続き楽しみにしています! (2016年3月9日 13時) (レス) id: d306aa4c78 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 吹雪始音@色松さん» 鈴ちゃん、読んでくれたんだ!ありがとうございます!そんなに褒めてもらえるなんて…!!紅葉姐さんの口調、難しいです、今研究中(⌒-⌒; )これからも頑張って更新しますね、始音ちゃんも頑張ってね( ´ ▽ ` )ノ (2016年2月24日 2時) (レス) id: c73290e85b (このIDを非表示/違反報告)
吹雪始音@色松(プロフ) - ユイさん、どうも!
読ませて頂きました、鈴こと始音です(`・ω・)
夢主ちゃんのキャラ可愛いですね!そして紅葉姐さんの口調とか上手くて羨ましい限りです(笑)
これからも頑張って下さいねっ♪ (2016年2月22日 22時) (携帯から) (レス) id: 6e22eac2fd (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 山ノ内さん» わあ!わざわざコメントまでありがとうございます!!頑張って更新します!山ノ内さんの作品も続き楽しみにしています! (2016年2月10日 23時) (レス) id: c73290e85b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユイ | 作成日時:2016年2月2日 0時