重力遣いの新相棒【文豪ストレイドッグス】

スルー ページ34

〜中也side〜



「くくくっ、太宰の無様な姿が見られると思うと、笑いが止まンねえ」


「…中也、あのさ。ひとつ言っていい？」


「ンだよ？」


「めっちゃゲスい顔してるよ？」


「うるせえ！！！」


「いでぇ！？なんで殴るの！？というか事実を言ったまでだし！！」


「そういう問題じゃねえ！！」


「あはは、でも楽しみだね。太宰が鎖で繋がれてる哀れな姿」


「ああ！！そうだな」





俺たちはしゃべりながら歩いていると、地下牢の階段付近に着いた。


そして俺はその先にいるであろう太宰に向かって叫ぶ。





「相変わらず悪巧みかァ、太宰！」



「……その声は」


奥から太宰の声が聞こえる。


さらに足を進めると、鎖に繋がれている太宰がいた。





「こりゃ最高の眺めだ、百億の名画にもまさるぜ」









「最悪、うわっ最悪」


「良いしてくれるじゃないか、嬉しくて縊り殺したくなる」


「おや、Aも来たんだね」




…思い切りスルーされた。




「ヤッホー、うん、太宰がいるって鏡花ちゃんに聞いて、来たんだ」


「鏡花ちゃん？ああ、私をさらったあの少女か」


「そうそう、紅葉姐さんのお気に入りだよ。でもあの子、マフィア裏切っちゃってさー、まあ人を殺したくないって前言ってたからね」


「なるほど、それは大変だ」


「でしょ？」






…俺、空気になってねえか？

というか、それよりも。





「勝手に世間話してンじゃねえ！！！」


「あ、ごめんごめん中也」


「ああ中也、君もいたのか」


「うるせえ！！勝手に存在消すな！！」


「わあ、黒くてちっちゃい人がなんか喋ってる。前から疑問だったのだけど、その恥ずかしい帽子どこで買うの？」


「あ、それ私も気になってた！」


「ンなこと気にしなくていい！！」


「あはは、中也は相変わらずだねえ」


「ケッ、言ってろよ放浪者」


「うん、じゃあ何回でも言わせてもらうよ。中也はちっちゃーい、くろーい、恥ずかしい帽子をかぶってるー」


「うるせえ！！」


「あはは、二人とも変わってないね」


「はっ、だが今や手前は悲しき虜囚、泣けるなァ太宰。いや、それを通り越して………少し怪しいぜ」




俺はそう言って、太宰の髪を掴む。



すると、Aも太宰に近づく。


そして笑顔のまま、口を開いた。

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