重力遣いの新相棒【文豪ストレイドッグス】

敦君 ページ28

〜太宰side〜




さっき美しい女性が探偵社にやって来た。



探偵社に来たのは依頼したいことがあったから。


どうやら、彼女の働いている会社のビルの裏手に、密輸業者と思われる輩が出入りしているらしい。

それで軍警に掛け合うために、現場を張って証拠を掴んで欲しいという内容の依頼だった。




…まあこんなものは建前だ。


私は彼女がここに入ってきた瞬間にそれが分かった。




彼女には探偵社ではなくて、探偵社の誰かに用がある。


そしてその誰かというのは、恐らく敦君だろう。




敦君に、なんのために会いに来たのかは分からないが、良いことではないだろう。



なぜなら、この可憐なお嬢さんは…





マフィアの構成員だから。




私がマフィアにいた頃は見かけなかった顔だが、彼女がマフィアの一員であることはすぐに分かった。



まあ、大方敦君を狙うのは賞金絡み、といったところだろう。

敦君は、区の災害指定猛獣だしね。

誰が懸賞金をかけたのかは、今のところはまだ分からない。





まあとりあえず、敦君をマフィアに取られるのは阻止しないと。









美しいお嬢さんのニセ依頼のため、敦君が谷崎兄妹とお嬢さんと一緒に探偵社を出た。


恐らくお嬢さんは、どこか狭いところへ誘い込もうとするだろう。

あのお嬢さんには盗聴器を仕掛けたから、向こうの動向は筒抜けだ。







そして敦君と谷崎兄妹たちが探偵社を出て少ししたら、早速あのお嬢さんが動き出した。





「…失礼とは存じますが嵌めさせて頂きました。私の目的は…貴方がたです」



…やっぱりね。

そして彼女は誰かに電話をかける。





「芥川先輩？予定通り捕らえました。これより処分します」



あらら、彼女芥川君の部下だったのね。


盗聴器越しだったので芥川君の返事は聞こえなかったが、おそらく芥川君もこれから彼女と合流するだろう。


となると、敦君たちが大変だ。




「さて、そろそろ行くとするか」




天の啓示を待っていた私は、ソファから起き上がって、彼らがいるところへ向かった。

戦争→←太宰

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す