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「妃薫です。貴方は森鴎外殿で間違い無いですね」

鴎外「嗚呼。御足労感謝する。まさか来てくれるとは思って居なかったのだがね」

「面倒事が嫌いなだけです。それで、用件は」




森の背後に控えている護衛が、冷や汗を流した。これまで、ポートマフィアの首領相手に、此処まで堂々とした態度を取れた者は居なかったからだ。




鴎外「急いでいる様だから単刀直入に言わせて貰うが──...ポートマフィアに入る気は無いかね」


「...別に急いでいる訳じゃあ無いんですけどね。構いませんよ」




中原が驚いた表情を浮かべる。




「入ったからと言って、何か変わるとは思えませんけれど。私は私で自由にやらせて貰います。どこへ行こうが何をしようが、それを咎める権利は貴方には無い」

鴎外「...首領だから、という理由では駄目なのかな?」

「本来人は皆平等です。職業上の立場や身分等は関係ありませんから」

鴎外「実に面白い意見だ。良いよ。認めよう。ただし、敵側に着く事だけは止めて欲しいものだね」

「...まぁ、其れは考えます。時と場合によりますから」





中原までもが冷や汗を流す程の会話であった。ポートマフィアの首領相手に、これ程まで自分の意見を言える者は幹部ですらそう居ない。




「...もう良いですか。やらなければいけない事もあるので」

鴎外「...嗚呼、済まないね。行ってくれて構わないよ。しかし、明日の朝にはもう一度此処へ来て貰いたいのだが」

「判りました。それじゃあ、失礼します」





と、妃薫は執務室の窓から外へ出た。



残された中原は唖然とした表情で、妃薫が去った窓を凝視している。





中原「宜しいのですか、首領。自由にさせて置いても」

鴎外「嗚呼。入ってくれただけでも充分だかrsね。承諾してくれるとは思って居なかったんだが、運が良い」

中原「運、ですか」


鴎外「明日の朝、妃薫君に仕事内容を伝えて貰えるかい?部屋は中原君の隣が空いていた筈だから、其処を使ってくれて構わないよ」

中原「承知しました」


鴎外「...今日からきっと、賑やかになるね」





鴎外はそう言って、夜空に浮かんだ満月を眺めた。

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作者名:妃薫。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakaharaty1/  
作成日時:2018年3月12日 1時

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