弍 ページ4
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「妃薫です。貴方は森鴎外殿で間違い無いですね」
鴎外「嗚呼。御足労感謝する。まさか来てくれるとは思って居なかったのだがね」
「面倒事が嫌いなだけです。それで、用件は」
森の背後に控えている護衛が、冷や汗を流した。これまで、ポートマフィアの首領相手に、此処まで堂々とした態度を取れた者は居なかったからだ。
鴎外「急いでいる様だから単刀直入に言わせて貰うが──...ポートマフィアに入る気は無いかね」
「...別に急いでいる訳じゃあ無いんですけどね。構いませんよ」
中原が驚いた表情を浮かべる。
「入ったからと言って、何か変わるとは思えませんけれど。私は私で自由にやらせて貰います。どこへ行こうが何をしようが、それを咎める権利は貴方には無い」
鴎外「...首領だから、という理由では駄目なのかな?」
「本来人は皆平等です。職業上の立場や身分等は関係ありませんから」
鴎外「実に面白い意見だ。良いよ。認めよう。ただし、敵側に着く事だけは止めて欲しいものだね」
「...まぁ、其れは考えます。時と場合によりますから」
中原までもが冷や汗を流す程の会話であった。ポートマフィアの首領相手に、これ程まで自分の意見を言える者は幹部ですらそう居ない。
「...もう良いですか。やらなければいけない事もあるので」
鴎外「...嗚呼、済まないね。行ってくれて構わないよ。しかし、明日の朝にはもう一度此処へ来て貰いたいのだが」
「判りました。それじゃあ、失礼します」
と、妃薫は執務室の窓から外へ出た。
残された中原は唖然とした表情で、妃薫が去った窓を凝視している。
中原「宜しいのですか、首領。自由にさせて置いても」
鴎外「嗚呼。入ってくれただけでも充分だかrsね。承諾してくれるとは思って居なかったんだが、運が良い」
中原「運、ですか」
鴎外「明日の朝、妃薫君に仕事内容を伝えて貰えるかい?部屋は中原君の隣が空いていた筈だから、其処を使ってくれて構わないよ」
中原「承知しました」
鴎外「...今日からきっと、賑やかになるね」
鴎外はそう言って、夜空に浮かんだ満月を眺めた。
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作者名:妃薫。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakaharaty1/
作成日時:2018年3月12日 1時