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壱拾捌 ページ20

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治「大丈夫かい?」

『ええ。ご免なさいね、突然』

治「良いんだ。...伊邪那弥の事だろう」





妃薫は目を見開いた。太宰は微笑み言葉を続けた。




治「『うつくし姫』を読み返して、可笑しいと思ったのだよ。如何して君が全て処分した筈の絵本が残っていたのか」

『如何やって伊邪那弥に辿り着いたの?』

治「調べる方法は幾らでも在ったからねぇ。“空白の三日”を君が起こしたのだと考えれば、辻褄が合う」

『...流石ね』





妃薫は苦笑した。





『まさか生存者が居ただなんて...』

治「......君は」





太宰が何かを云おうとした瞬間、扉が大きな音を立て勢い良く開け放たれた。






国木田「だァァァざァァァいィィィ!!」

治「ぐえっ」





途端に国木田が太宰の首を掴み、華麗な背負い投げを喰らわせた。

太宰は放物線を描いて社の壁に衝突。が、国木田が更に伸びかけている太宰に詰め寄る。




国木田「仕事を放り出し敦に訳の解らん事を教え美人を見掛けては心中に誘い、挙げ句の果てに女性を物置部屋に連れ込むだと!!?何を考えて居るのだ貴様は!!」

治「待って国木田君、連れ込むだなんてそんな」

国木田「言い訳無用!!今直ぐ社員とあの女性に謝罪をしろ謝罪を!!!」





云々。

コントの様な二人の遣り取りを暫く眺め、妃薫は笑い乍ら仲裁に入った。






『治...太宰さんに話を御願いしたのは私の方ですよ、国木田さん。何やら普段からこの人の扱いに並々ならぬ苦労を抱いておられる様ですけれど、御安心なさって下さいな』

国木田「む。御本人がそう仰るのならば構いませんが、然し...」

『大丈夫です。この人の扱い方は把握して居ますから』

治「妃薫ちゃん、止めて呉れるならもう少し早くにして呉れ給え...」

『あっ、因みに痛め付ける時のコツですが、鳩尾には中指を少し突き出した形での拳が効きますよ』

治「妃薫ちゃん!?」





一先ず、賑やかなのは良い事である。

壱拾玖→←壱拾漆



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作者名:妃薫。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nakaharaty1/  
作成日時:2018年3月12日 1時

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