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12.馴染み ページ12

「志野さん?…志野さん!?」

織部は書類の山を前に、机に突っ伏している志野の肩を揺すぶり起こす

「…はい?」

志野は寝ぼけたような、情けないような力無い声を出す


「寝てましたか?…すみません」

「いえ。今日で何徹目ですか?」

志野はカレンダーを見つめ、指折り数える


「えっと…6徹目?」

「いい加減寝て下さい。目の下にクマが出来てますよ?」

「クマなんか夜更かししただけですぐ出来る体質ですから大丈夫です。
そう言う織部さんは何徹目ですか?」

「…8…いや。9徹目ですかね?」

「織部さんこそ寝て下さいよ。会社のためにも土下座してお願いします」

「私は慣れてるんです。だから土下座とか本気でやろうとしないで下さい」

「せっかくかがんだのに」


「それより志野さんは徹夜なんて初めてですよね?何かあったんですか?」

「ぬいぐるみを捨てたんです」

「ぬいぐるみ?」

「子供の頃からいつも抱いて寝てたぬいぐるみです。
毛並みが変わっても、毛玉が出来でも捨てれなくて。
汚いからって、洗濯して干された夜は寝れませんでした」

「どうして捨てたんですか?」

「目玉が落ちたんです。必死に探したんですけどどこにもなくて。
変わりを付ける気にもなれず放置していたら、もう片方の目玉も落ちたんです。
それも見つからなくて…縫い目から綿も出るようになったんです。
そんな事が続いたから、これはもう限界なんだろうな。って思って捨てたんです」

「ぬいぐるみがないから寝れないんですか?」

志野はしばらく考え、切なそうに自分の手を見つめる


「捨てたのは私何ですけど、こうなる前にもっと大事にしてあげれば良かったと思うと…
落ちた目玉がどこかで私を恨んでるんじゃないかと思うと、布団に入るのも怖いんですよ」

「ぬいぐるみは恨むどころか、感謝してると思いますけどね。
志野さんが大人になれるように捨て身の覚悟だったと思うんです」

「大人ってなんですか?私はもう立派な大人ですよ?」

志野は織部をからかうように笑う


「じゃあ、今夜はぬいぐるみじゃなくて私を抱いて寝ませんか?」

志野は返事に困ったが、疲れきった身体を休めたいと思っていた

「それはよく寝れるんですか?」

「はい。眠れる保証は無いですけどね」

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設定タグ:名前変換 , オリジナル , 短編集   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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(プロフ) - 13日の金曜日さん» あっ。正解w元は鬼灯で書いてたものを引用して名前変えだけですからw (2015年7月28日 19時) (レス) id: 50aca512b0 (このIDを非表示/違反報告)
13日の金曜日 - 白澤とか唐瓜とか出てきて鬼灯○冷徹かと思った自分を殴ってやりたくなる、今日この頃 (2015年7月28日 14時) (レス) id: e33d5cb0ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/toshi6411/  
作成日時:2015年5月9日 5時

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