36.レストラン ページ36
「美味しい？」
「とても美味しいです」
「良かった」
今日は織部さんと一緒に高級レストランのコース料理を食べにきた
「でも、これって高くないですか？会計が怖いんですけど…」
「いいよ。勝手に予約入れて、志野ちゃんを付き合わせたのは僕なんだから奢るよ」
「でも…」
「いいって」
少し突き放すように言い放った織部さんは、私を見つめたまま何も言わない
何を言い返そうか悩んでいる内に時間は経過し、一言の重みが増えていく
完全にタイミングを失ってしまった
それでも私と織部さんは目が合ったまま、どちらも視線をそらさない
これは目をそらした方が負け。的な流れ？
それとも笑った方が負けなのだろうか？
しかし、いつも多弁な織部さんがここまで静寂を貫き通すと不安になってくる
何か怒らせた？
録画して見れてないドラマの最終回のネタバレ言った事根に持ってる？
それとも、予約してまで来たかった相手は私じゃなかったとか？
最初は冗談めいた事を考えていたが、気まずさから思考はネガティブめがけて急降下していった
「織部さん？私何か悪いことしましたか？」
「してないよ」
「じゃぁ何で怒ってるんですか？」
「怒ってないよ。僕は今すごく幸せだよ？」
どこが？
そう思った時
「志野様ですね」
声のする方を見れば、真横にウェイターが立っていて
テーブルの横につけるように置かれたワゴンの上には、蝋燭の火で柔らかく照らされたケーキがあった
「お誕生日おめでとうございます」
「あっ…」
忘れてた
今日は私の誕生日だった
「さっきから志野ちゃんソワソワして辺りを見回してるんだもん。
ケーキが来る前に気づいちゃったらどうしようかって焦ったよ」
「じゃぁあのシカトもわざとですか？」
「そうだよ。でも、悩んだり困ったりしてる志野ちゃんは可愛すぎて…
僕にやけるの我慢するの大変だったんだから」
「じゃぁやらなければ良いのに」
「それは無理。僕は志野ちゃんと一緒にいられるから誰よりも幸せなんだから。
そして、そんな志野ちゃんに会えたのは志野ちゃんが生まれたからであって…
こんな素敵な事を僕は祝わずにいられないよ。
お誕生日おめでとう。僕のために生まれてきてくれてありがとう」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
梼(プロフ) - 13日の金曜日さん» あっ。正解w元は鬼灯で書いてたものを引用して名前変えだけですからw (2015年7月28日 19時) (
レス) id: 50aca512b0 (このIDを非表示/違反報告)
13日の金曜日 - 白澤とか唐瓜とか出てきて鬼灯○冷徹かと思った自分を殴ってやりたくなる、今日この頃 (2015年7月28日 14時) (レス) id: e33d5cb0ec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鋳 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/toshi6411/
作成日時：2015年5月9日 5時
