＿私は希望を捨てた

現実は辛い　byありす ページ34

なんで？



やっと会えたのに神様はまた私たちを引き離そうとしてるの？





現実は甘くない。


それは知ってる。



知ってるけど、やっぱ夢ばかり見る。




現実から逃げて夢ばかり見てるけど、それでも私たちは一歩ずつ、ちゃんと前へ進んでた。







この夢がない現実にうまく溶け込めるように。







今まで頑張ってきたんだからたまには現実に夢があってもいいじゃん。





なんでよ…………………。




なんで神様はこんなに厳しいなの？




こんな運命、あり？





周りの人は、みんな笑顔で。



友達と他愛のない会話で笑い転げて。


おはようって言ったらおはようって返ってきて。


またねって言ったらまたねって返ってきて。


次の日にはまた会えて。

　
明日という明るい未来がある。




なのに、なんで。


なんで私たちだけ、夢から突き落とされて現実を押し付けられてるの？


ありえない。


ありえないよっ……。


もう、無理。


気づいたら頬を涙が流れてきた。



我慢できない。


もうこんな人生、いやだ。


はやく希望(のぞみ)のいる天国に行きたい。



そう思ってしまうほどだった。



優梨「もう私、人生やめたい。」



ふと、声に出てしまった。



玲も希望(のぞみ)も目を見開いている。


そりゃ、驚くか。


声に出してしまったことをちょっと後悔しながら、二人に背を向けて朝日を見上げた。


希望(のぞみ)「ねぇ、優梨。」


突然、希望(のぞみ)が私の服の裾をちょんっと引っ張った。




その顔は真剣そのものだった。




希望(のぞみ)「私は、短い人生だったけど、楽しかったよ。二人のおかげで。優梨は、私といて楽しかった？」




優梨「もちろん。希望(のぞみ)がいたから、楽しかったよ。」




私はくるりと振り返り、希望(のぞみ)の瞳をしっかり見つめてそう言った。




希望(のぞみ)「ほんとー！ならよかった。」



ちょっと興奮してるのを抑えてる感じが、なんとも可愛かった。



希望(のぞみ)「ねぇ、なら、約束してくれない？」



そういうとふぅっと一息吐き、今度は思いっきり吸って言った。




希望(のぞみ)「辛いこともあると思う。悲しいことも、悔しいこともあると思う。でも、死んでしまったら何もかも味わえない。今まで見てきた世界がすべてなくなる。ねぇ、だから、そんな私の分まで生きてよ。」





涙目でそう訴える彼女は、とても綺麗だった。

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