愛されたい気持ちは知っている

またね ページ42

でも、私、あんまり恋については分からないんだよね。

だから、どんな返事をすれば良いかも分からないの。





マゴマゴしていると、光は私を抱きしめる。


わわっ、恥ずかしい！


「今だけ……今だけこうさせてくれ。」

光の声は切なげで、私はとても可哀想な気持ちになった。


だから、私も光の背中に手をまわす。

そして、優しくさすった。




お疲れ様、光。

それと、頑張ってね。


私、ずっと光のこと応援しているよ。



光ならきっと乗り越えられる。


信じてるから。



そうして、私たちは抱き合ったまま、時を過ごした。


このまま、時が止まって仕舞えばいい。

そんなことを思ってしまうほど、その空間が心地良かったんだ。




もしかして、私も光に惚れてたり？

なんてね。



しばらくして、お互い抱き合うのやめて、向き合う。



私は光の瞳をジッと見つめて、微笑んだ。


「光のこと、世界で一番応援してる。」

「おっ、やる気が出てきた！」


二人で笑った。

ただただ幸せな時間。




でも……もう会えないかもしれないんだよね。


光には光の道があるわけだし。


それは少し寂しいな。




光は私の頭を優しく撫でる。


「んな顔すんなよ。
　俺、行きたくなくなる。

　でも、進むよ、彩のために。


　良い男になって必ず帰ってくる。
　だから、俺のこと応援しながら待ってろよ。」



帰ってきてくれるの！？


「本当？本当なの？光。」

「あぁ、約束だ。」



光は小指を私に向けて立てた。


約束だよ、絶対に。

私はその小指に自分の小指を絡める。




その時、涼しい風が私たちの間を駆け抜けた。

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