愛されたい気持ちは知っている

身長は遺伝 ページ35

すると、若武はどんどん顔を赤くしていった。

「うるせぇ！
　これでも毎日牛乳飲んでたんだよ！」



あぁ、牛乳飲んだら身長が伸びるって話があるもんね。

でも、確かそれって効果がないんじゃなかったっけ……？





上杉君に聞いてみると、どうってことないように答える。


「一概にそうとは言えん。
　牛乳を飲んだ方が2.5cm伸びたというデータがある。


　だが、一方で牛乳はカルシウムが多く含まれており、骨は強くするが身長は伸びない。

　ま、最終的には親からの遺伝だったりする。」




へぇ、そうなんだ……。

じゃあ、上杉君や黒木君、忍の親はみんな身長が高かったんだね！



なんだか満足して、ニッコリしていると、光があ！と声を出す。


え、何々！？




みんなが光に注目していると、光は触っていたスマホの画面を見せた。
　
そして、テヘっと言わんばかりに笑ったんだ。


「俺が予約してたホテル、火事になって泊まれなくなったわ。」




え、えぇぇぇ！？


「いやぁ、俺、元々遠くから遊びに来てたんだが。
　まさかこんなことになるなんてな！」




いっそ清正しいほどの元気さ。

どこも焦るようには見えなかった。



こんな非常事態で……すごいね。


みんなが苦笑いをしていると、光はクルッと私の方を向く。




「と、いう訳で、彩、泊まらせて！」


んっ！？どうしてそうなった！？

目を丸くしていると、急いでKZが止めに入った。



「危ないから即却下だ。」

「いくら幼馴染でも危険すぎる。」

「何よりアーヤの家族に迷惑だよ。」

「俺たちにも迷惑になる。」

「ん、ここはやっぱり七鬼の家でも泊めて貰えば？」

「え、俺の家？別に構わないけど……。」






光は子犬のようにシュンとして、私の瞳を見つめた。

「彩……駄目なの？」




うっ、これには弱いことを知っててやってるでしょ！


でも……確かに可哀想かも。




忍の家に泊まるにしても、初めて会った人だから、気まずいだろうし。



仕方ないなぁ。

「分かった。
　もし、お母さんが許してくれたら、良いよ。」



瞬間、光はジャンプしてガッツポーズ！


「おっしゃぁい！彩、愛してる！」




突然の言葉に思わず顔がポッ！


愛してるって……そんな簡単に使うものじゃないでしょ！





とりあえず、お母さんに話してみなくちゃね。

KZのみんなは猛反対してたけど、既に決まったこと！




別に……構わないよね？

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