愛されたい気持ちは知っている

絶望の中から ページ32

私は諦めて、全てを話そうとした。

きっと隠してもいずれはバレるだろうし、仲間に極力嘘はつきたくない。



口を開き、声を出そうとする。

けれど、光が私の声を遮った。



「はじめまして、俺は松崎光と言います。
　彩とは幼馴染のような関係です。

　あなたたちは彩とどのような関係で？」



さっきのヤンチャが嘘のように消えて、まるで自分よりずっと年上の大人を見ているような感覚に襲われる。

声すら出ず、目を丸くした。



それに幼馴染って勝手に設定を作ってるし！

怒ろうとするけれど、今度はKZの自己紹介で、若武が一歩前へと出る。


「俺らとアーヤは探偵をやってるんだぜ。
　ちなみにそのリーダーはこの俺、若武和臣様だ。

　成績優秀、美男子、そしてサッカーのエースストライカー！」



光はこの世のものではない何かを見るような視線を向けていた。

そして、上杉君は若武を小突く。


「ナルシストは黙っとけ。
　あ、俺は上杉だ、よろしく。」

　
簡潔すぎるあまり、こいつ変な奴と言いたげな顔をする。




「僕は小塚和彦だよ、よろしくね。
　アーヤに幼馴染が居たんだ。」

ニッコリ笑う小塚君の前に、フワッと辺りが包まれるような感覚になる。


流石小塚君、光も表情を柔らかくしたんだ。




そして、黒木君が不適に笑う。

「俺は黒木貴和。
　よろしく、アーヤの幼馴染さん。」



自分に言われてるわけでもないのに、思わずドキッとした。

次に翼が天使の微笑を浮かべる。


「美門翼だよ、よろしく！
　特技はこれ。」

翼は自分の鼻を指差した。

けれど、何も知らない光はポカンとする。




最後に忍が髪を肩からサラサラと落とした。

「七鬼忍だ、よろしく？」




全員の自己紹介が終わった途端、光はプッと笑い吹き出す。



え？なんで？

どこに面白さを感じたのか分からず、首を傾げた。


すると、涙目になるまで笑い続ける。

「お前ら、個性ありすぎだろ。」



そうかな……？

全員を見渡して、考える。



確かに、それぞれの個性はある。

でも、そんなに笑うかなぁ。



個性があるのは良いことだし。




「あーあ、良い子ぶるのやめた！
　改めて、俺は松崎光だ、よろしくな。」

どこか吹っ切れて、楽しそうだった。

恋せよ男子！→←恋人

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す