愛されたい気持ちは知っている

番外編　〜光が帰ってきた！？〜 ページ30

今日は大雨の日。

外ではザーザーと音を立て、少し憂鬱。



だって、雨は湿気が酷いもの。

それにあれ以来、光に会えていない。



始めはいつ来るか、とワクワクしながら待っていたけど、今ではもう来ないって思ってる。

もちろん、光は信じてる。


でも、忙しいって可能性があるでしょ？


光のことだから、きっと忙しいくて来れないんだと思う。




……それとも、私のことなんて、忘れちゃったのかな？


って、そんなわけないじゃない！

絶対に忘れないって言ってたもの。



私は気分転換に自分の部屋の窓を開けた。

そして、外を静かに見つめる。


瞬間、下の方から小さな声が聞こえたんだ。

「彩……！」


聞き覚えのある声に、ハッとして窓から身を乗り出し、下を見る。



すると、そこには、なんと光の姿！！


傘もささずにビショビショ。

でも、髪が水に滴り、前の子供っぽい光とは大違いで、大人っぽい。

だから、少しドキッとしたんだ。



私は光がさっきしたように小さな声で叫ぶ。

「どうしてここにいるの！？」

「んー、会いに来るって約束したから？」


疑問形の返答の光は、ニカッと笑った。



ん〜！かっこいい！

目を奪われるほど、美しいと思ったんだ。


光……きっとモテるだろうな。

もしかしたら、KZのみんなと同じくらいモテるかもしれない。



そんなことを考えながら、小さく声を発する。

「光、今向かうね。」


部屋着だから、急いでワンピースに着替え、玄関の扉を開けた。

家族には書い忘れたシャープペンシルの芯を買ってくる、と言ったよ。


すると、そこには、笑っている光が立っていた。


もう、傘くらいさしなさいよ！



「光、これで拭いて。」

私はこっそり持ってきたバスタオルを渡す。



「さんきゅ、彩。
　でも、わざわざ来なくても良かったのに。」


え？どうして？

「だって、俺が勝手に来たくて来ただけだろ？
　彩に迷惑かけて、申し訳ない。」


犬のようにシュンとする光。



か、可愛い……。

かっこいいし可愛いって、相変わらず凄いなぁ。


少しボーッとしたけど、慌てて傘をさした。

「ほら、ここだと目立つから、別のところに移ろう。
　傘に入って。」


すると、光は唖然としたように、固まる。

……はて、どうしたんだろう？


「彩、相合い傘って知ってる？」

真剣な眼差しの光に、首を傾げた。


相合い傘……？

初めて聞いた。


知らないと答えると、光はガックリと肩を落としたんだ。


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