KZに出会おうか ページ24
ママたちは理由を何ひとつ聞かずに、ただ抱きしめてくれた。
それがどれほど温かかったか、私の知っている言葉では表せない。
今度は……KZに会いに行かなきゃ。
逃げてしまった代わりに、今は立ち向かうんだ。
私は家族から離れ、笑った。
「友達に……仲間に会いに行ってくる。」
それに対して、みんなはなんて言ったと思う？
「いってらっしゃい。」
だってさ。
どうして、気づかなかったんだろう。
こんなに大切にされていたっていうのに。
私は愚かなのかもしれない。
自ら愛されないと錯覚し、運命という名のものから逃げた。
でも、だからこそ、今、立ち上がるんだ。
若武の家に向かって走った。
自転車の方が早く着くんだけど、走った。
自分の足で会いに行かなければいけない気がして。
自分の意思でここに来たことを示したくて。
既にみんなには緊急集合と伝えている。
お父さんが若武に伝えてくれたんだ。
だから、私が帰ってきたことをみんなは知らない。
どんな反応をするのかな。
嫌がられないかな。
大切な仲間になれていたのかな。
いろんな感情や考えが入り交じる。
かなり走った、というところで若武の家に着く。
息が荒れながらも、ノッカーを叩き、玄関の扉を開いた。
大丈夫、大丈夫。
自分の心を落ち着かせ入ると、そこには島崎さんが居たんだ。
これもまた懐かしい……。
島崎さんは私の存在を見て、酷く目を丸くした。
「立…花さん……？」
コクっと静かに頷き、書斎に向かう。
そして、私は扉の前に立つ。
すると、部屋の中から争い声が聞こえた。
「若武、なんで集めたんだよ。
こんな時に。」
鋭く冷たい上杉君の声。
「知らん！
アーヤのお父さんから集合してほしいって来たんだ。」
明るく情熱の篭った若武の声。
「アーヤのお父さんが来るのかな？」
優しく和める小塚君の声。
「アーヤについての話かもしれない。」
ミステリアスで大人ぽい黒木君の声。
「アーヤ、どこに居るんだろ。」
美少年で意外と天然の翼の声。
「俺たちが懸命に探しても、見つからなかったな。」
天然だけど優しい忍の声。
みんなの声が私の耳にはしっかり届いた。
久しぶりに仲間に会えるんだ。
書斎の扉のノブに手をかける。
少し力を入れれば良いだけだから……。
ただそれだけなのに、こんなにも手が震える。
このまま帰ってしまおうか。
そんな意見が頭をすぎた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 41人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
彼方 - めっちゃ泣きました｡私は始めの方のアーヤに共感です｡ (2022年1月28日 14時) (
レス) @page44 id: ff2f6a1a44 (このIDを非表示/違反報告)
あき@草売り大魔王(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます！！ななななんと！！そう言われると照れますね///番外編書いた甲斐がありますd(￣ ￣)これからも頑張ります！！ (2021年7月22日 12時) (レス) id: 8824d19027 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 本編より番外編が私好きです。応援しています。 (2021年7月22日 12時) (レス) id: f67671a5a5 (このIDを非表示/違反報告)
あき@草売り大魔王(プロフ) - ほっと梅昆布茶さん» えっ！？そんな言葉もらった昇天しますよどうしてくれるんですk((殴 哲学……難しいんですね(？)更新頑張ります！！ (2020年8月25日 16時) (レス) id: 8824d19027 (このIDを非表示/違反報告)
ほっと梅昆布茶(プロフ) - 本編の方を読んで、物凄く、物凄く泣きました！鼻炎と相まって顔がグチャグチャになりましたよどうしてくれるんですk((殴 兎に角、とても感動しました！最後に愛とは何かと考え、朝から哲学的な気持ちになりました笑 番外編の続きも楽しみです！頑張ってください！ (2020年8月25日 8時) (レス) id: e9c40f925b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あき@草売り大魔王 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp
作成日時：2019年11月12日 17時
