クールアーヤの過去は知っている

立花の家 ページ23

俺らは早速、立花の家へ向かった。


今はもう6時であたりは暗い。

だが、そんなことで行くことを諦める俺らじゃない。



しばらくすると、立花の家に着く。

立花の家は一軒家で、普通の家とほぼ変わらなく見える。



黒木が静かにインターホンを押した。



「はい、どなたでしょう。」

声を聞いた瞬間、どうしようもないほど愛おしく感じた。

この声は立花の声だ。



美しいソプラノ声が優しく響く。

いつも一定の大きさと響き。


心が安らぐ。


「アーヤ、黒木だよ。
　と言っても、KZ全員いるけどね。」

黒木は甘い声を出した。

でも、それとは反対に顔は恐ろしいほど怖い。


どれだけ黒木が怯えていたか、俺にはわかった。


「は？KZ？嘘だろ。」

立花の声には動揺があるように感じられる。



この声も愛おしい。

全てが愛おしくたまらない。


柄にもなく、そんなことを思ってしまった。



だから、俺は自分の出せる限りの優しい声を出す。

「本当だ。今すぐ出てこい。」



やっぱりどこか冷たくなるが、俺の中では優しく話せた気がした。


インターホンからため息が聞こえる。

「今行く。」




俺らは顔を輝かせ、視線を絡ませた。


やっと久しぶりに会える。

やっと近づける。



今度こそは手放さねぇ。



玄関の扉がガチャッと開いた。

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