私の未来は彩らない

見失う道　若武side byあき ページ30

今日は、皆でアーヤの病院へ行く日だ。


この日をどれだけ待ち望んだか、俺の言葉では表せない！




きっと、アーヤなら、素敵な言葉を使うんだろうな。





アーヤにもう一度会えるという喜び。

そのせいで俺は……いや、俺らはかなり浮かれていた。





まさか、会えないなんて思ってなかったんだ。









俺らが病院へ着くと、そこにアーヤの姿は無かった。




何度も受付の人に立花彩は居ないか聞いた。

けれど返ってくる返事は全て“そんな名前の患者さん、今は居ません”。







嘘だろ……嘘だろ！！





そんなわけがない。

だって、黒木の情報だから。







そう思い、黒木の方へ目を向けると、驚きの光景だった。




いつも余裕たっぷりの黒木の瞳が揺れている。

KZメンバーで今1番動揺しているのは黒木だ。





すると、それを見兼ねた上杉が鋭く言い放った。

「今日はもう解散する。
　それでいいな、若武。」





上杉に仕切られ、なんとなく尺に触れる。

だが、この状況故に頷いた。









家に帰る途中、ずっと考えていた。





何故、アーヤが居なかったのか。

黒木の情報ミスなのか……？



いや、でも、黒木の情報は今までずっと正しかった。



仲間の力を疑うのは、リーダーとしてあり得ん。





なら、どうして、居ないんだろう。





まさか、病院側が嘘をついていたとか！？




本当はアーヤはあの病院に居る。


だが、なんらかの理由で俺らに会わせたくなかった。



やっべ！俺天才かも！





一瞬、そんな考えが脳を巡った。


だが、次の瞬間、もう一つの意見が浮かんだ。





アーヤが別の病院へ移動したのか？


確か受付の人は言っていた。




“そんな患者さん、今は居ません”と。

今は居ない、つまり前には居たんだ。







しくった……。

それを聞けば良かったじゃねーか。




全員が動揺して、そこまで気が回らなかった。







しゃーない、明日聞きに行くか。




そう思い、家へ向かう足を速めた。

でも、家へ近づくたびに、名残惜しい気持ちになる。



このまま、本当に帰っていいのか。

明日になったら、アーヤへの情報が廃棄されるかもしれない。






……あー、たっく！

俺は全速力でさっき居た病院に向かって走った。




1秒でも速く、この際0.1秒でも妥協する！



息を切らしながら着くと、そこには上杉＆黒木が既にいた。

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