美しい友情 ページ46
私は、そのまま優しく黒沢さんの頭を撫でる。
「そんなことない。
黒沢さんに何もないわけがないじゃない。
だって、頑張ってきたんだもの。
努力は報われる。
努力した分、黒沢さんには、きっと何かが付いている。
だから、私は黒沢さんを見逃せないんだよ。」
努力が実らない私にとっては、黒沢さんは本当に羨ましい。
だって、しっかり学んだことが身についているんだもの。
たとえ、それが認められなくとも。
黒沢さんには何もない?
そんなわけないよ。
何もない人なんて居ないんだ。
私は離さないように黒沢さんを優しく、そして強く抱きしめる。
「私はあなたを見放さない。
同情なんかじゃないよ。
黒沢さんだから、一緒にいたいって思うんだ。」
黒沢さんは泣き止み、ポツリと呟いた。
「ねえ……どうしたら、私も立花さんみたいな綺麗な心を持てたのかな。
私、立花さんのような人になりたかった。」
綺麗な心?
私は少し考え、言った。
「私、綺麗な心なんてもっていないよ。
だって、時々悪い子になっちゃうもの。
それに、黒沢さんは黒沢さんでしょ。
だから、私みたいにならなくても良いと思う。」
黒沢さんは乾いた笑いをもらし、私の肩を押して、私と少し距離を取る。
そして、涙が溜まり光る瞳で私を優しく見つめた。
「友達……なってあげてもいいよ。
むしろ、こんな私でよければ、是非。」
え?
突然のことで理解が追いつかなかったけれど、すぐに黒沢さんの言葉を意味を知ったんだ。
「本当にいいの?私と友達に?」
少し食い気味で聞くと、黒沢さんは涙を吹きながら言った。
「何度も言わせないで。
あんたとなら友達になってもいいって言ってんの。」
頬を赤く染める黒沢さんは本当に綺麗だった。
やっぱり、しっかりと心を見せれば、相手もそれに応えてくれるんだ!
胸がジーンと沁みて、黒沢さんの瞳を見つめる。
黒沢さんの瞳は、僅かな涙で綺麗なダークブラウンとして、輝いていた。
きっと、私は、この瞳を永遠に忘れられない。
そのくらい、私の心の底まで染み込んだから。
147人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「探偵チームKZ事件ノート」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あき@草売り大魔王(プロフ) - むっちゃんさん» コメントありがとうございます!!そんなこと言ってもらえるなんて……一生家宝にしちゃいますよ!(?)更新はのんびりですが頑張ります! (2021年11月26日 16時) (レス) id: 8824d19027 (このIDを非表示/違反報告)
むっちゃん - 涙が止まりませんでした。これからも頑張ってください!! (2021年11月26日 2時) (レス) @page50 id: feee1d7f79 (このIDを非表示/違反報告)
あき@草売り大魔王(プロフ) - 菖蒲さん» コメントありがとうございます!!応援に応えられるように頑張っちゃいますよ!! (2021年9月9日 16時) (レス) id: 8824d19027 (このIDを非表示/違反報告)
菖蒲 - おもしろー!これからも、頑張れ(・v・)応援してますね! (2021年9月9日 10時) (レス) id: e522f808ef (このIDを非表示/違反報告)
あき@草売り大魔王(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!!感動だなんて……ありがとうございます!!とてもモチベーションが上がり、もっと書けそうです(?)更新頑張りまっす!! (2021年6月20日 19時) (レス) id: 8824d19027 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あき@草売り大魔王 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp
作成日時:2019年12月26日 19時