【薄桜鬼】 「好き」が『過去形』になる前に…

宵山 ページ3

〜池田屋〜

襖の前に立ち…

貴)風間さん居ます？Aですけど…


風)入れ

部屋の中から了承が聞こえたので襖を開ける

窓辺に腰かける風間に声をかける

貴)それで、要件とは？


風)今夜…下の座敷にて宮部や吉田などを交え、密会が開かれる


貴)へ〜

特に興味はない様子…

風)不知火の調べでは、新撰組にはすでにこの情報が割れているようだ


貴)あらま…

これに関しても特に驚いた声音は感じない

そして再び、Aは懐からビードロを取り出す


風)だからお前は、この機に乗じて新撰組内部へ潜入しろ


貴)はーい


天)本当に良いのですか？処刑されるかもしれませんぞ


貴)しょうがないことでしょう^^


天)貴方は長州には欠かせぬ大切な密偵のはず…ちゃんと自覚を持ってください


風)加えて、決して奴らに弱みを見せるな…病に関しても例外では無い


貴)参ったな〜…知ってるなら万能薬でも下さいよ

弱った微笑を浮かべ、懐紙を取り出す

風)この薬は症状を押さえるが、寿命は減る…諸刃の剣だがどうする？


風間が持つ小瓶には、チャプンと音を立てる赤色の水…


貴)驚いたな…まさか、本家の鬼から紛い者になる事を勧められるなんて…
それ、変若水でしょ？


風)あぁ…しかし改良型で、戦闘能力が上がらぬ分、治癒する能力が凄まじい…


天)しかし、服用した際の苦しみは従来型の倍だとか…


貴)ま、すぐには使いませんよ…苦しいの嫌だし


風)ならばそろそろ下の座敷に出向け…奴らにはお前の事を知らせてある
くれぐれも殺されぬ様、上手くやる事だ


貴)分かってますよ^^


そう言ってビードロを吹かしながら、Aは部屋を後にした…

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