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彼女 ページ48

左馬刻side









もう、だいぶ落ち着いて、

頭の中がクリアになって来たのが分かる。




相変わらず、現実と夢の境が曖昧だったが

Aに言った言葉はちゃんと覚えてた。





念の為と、今日一日

のんびり二人の時間を過ごす。



こうして、話をしながら、

Aは俺の様子を伺う。


会話しただけで分かるのは、流石だ。




会話の中で、

あの二人の名前が出たと思ったら、

Aの顔が少し寂しそうに影を落とした。



こういう顔は、初めて見た気がする。






左馬刻「………………ふっ。

なんで、寂しそうなんだよ。」




A『……なんでだろ。

こんな風に思うの、初めてだな。



この前二人と話していた時は

何も思わなかったのに。



…………左馬刻が、あの人たちと

仲良く出来てるのは、嬉しいのに、


………嬉しい思いと、……

少し、寂しいって思っちゃう。』





…………嫉妬……か?




左馬刻「…………なんだよ。」



思わず抱きしめて、キスをする。




左馬刻「………俺は、

お前だけのもんなんだろ?」



A『…………うん……。』




左馬刻「……安心しろ。

あいつらとお前なんか、

比べるまでもねぇよ。


けど……そうして嫉妬してんのは

可愛いな。


……たまには、そういうのもいいな。」




A『っ!………意地悪。』




左馬刻「ふっ。……悪い。

わざとやったりはしねぇよ。


けど、思ったことはちゃんと教えろよ。」




A『隠したことないよ。

……左馬刻も、ちゃんと教えてね。』




左馬刻「あぁ。





……なぁ、今の俺の言葉は、

ちゃんと信用できるか?」




A『っ!?…………ぇ…あ、うん。』



俺が、覚えている事に驚いたのか。

それとも、不意打ちだったからか。


珍しく慌てていた。



今日は、新しい顔を沢山見れて気分がいい。





左馬刻「……こっち来い。」


そう言って、自分の膝に乗せ、

向き合って見つめ合う。




左馬刻「……A。

俺と、付き合ってくれ。


俺の隣に、いてくれ。」




A『……っ……よろしく、お願いします。』



下を向いた顔を、そっとこちらに向かせると

目の縁に涙が溜まっていた。




左馬刻「……泣くほどかよ。」




A『…………ずっと、待ってたから。』



そう言って、抱きついてきたこいつを

抱きとめて、想いを伝えるように

たくさん、キスをしてやる。

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作者名:ゆず | 作成日時:2019年7月17日 2時

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