過去(左馬刻side��) ページ43
左馬刻side
言われて見れば、呼ばれない時でも
イライラが収まらない時はあった。
なら、本当にたまたま、なのか？
A『……いつも、私ばっかり
相手させてごめんね。
左馬刻も、何かあったら呼んでいいからね。
これ、連絡先。
一応、入れといて欲しい。
必要なかったら、かけなければいいから。』
そう言って、目の前で連絡先を
登録させられた。
左馬刻「……なぁ、ここでの事は、
親父にはバレないんだよな？」
A『うん、誰にも言ってないよ。』
左馬刻「…なら………………。」
……俺は、今、何を言おうとした？
んな事、流石に許されねぇだろ。
A『…………左馬刻、こっち向いて。』
ﾁｭ
左馬刻「っ！？…………は？」
A『……違った？
私はシたいなって、思ったし、
そういう雰囲気かと思ったんだけど。』
違わなかった。
だから、余計に驚いた。
こいつは、平気でこんなことすんのか？
……他の奴ともやってんのか？
A『……左馬刻、
左馬刻だけだよ、こんなこと。
他の人たちとは違うよ。』
この言葉を聞いて、何か
自制心のようなものが外れたのが分かった。
もう、考えるのもだるくなって、
そのまま欲望を吐き出した。
正直、姐さんを好きとか、
そういう思いはなかったと思う。
単純に、溜まってただけだ、と。
A『…………左馬刻。
もう少し、隣にいて欲しい。』
そう言って、何故か抱きつくではなく
俺の方が抱きしめられた。
左馬刻「おい、普通逆だろ？」
A『……私いっぱい甘えたから、
次は左馬刻の番。
今は、もう、何も気にしないで、
私の事だけ考えていて欲しい。』
左馬刻「…………わがままだな。」
A『……ふふっ。ごめんね。』
抱きしめられたまま、
姐さんに体を預けると、
初めて、優しい笑い声が聞こえてきた。
今まで、俺と話していて、姐さんが
笑っている姿を見たことがなかった。
左馬刻「……お前、
笑ってる方が似合ってるな。」
A『っ……そう？
なら、もっと笑わせてよ。』
左馬刻「なんで俺が笑わせんだよ。」
A『左馬刻が、こうして
甘えてくれると、嬉しいの。
だから、もっとたくさん甘えて欲しい。
いつも頑張ってること、応援するから
私の前でだけは、
私の事だけを考えて欲しい。』
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作者名：ゆず | 作成日時：2019年7月17日 2時
