弱った左馬刻様の安定剤 (ページ31)

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用事ページ31

霧島side

少し話をして、二人を見送り、

後片付けいると俺のスマホが鳴った。

相手はお嬢からだ。

用事があっても左馬刻から

離れられない時、こうして

スマホを鳴らしてくる。

それを止め、二人のいる寝室へ向かう。

ｶﾞﾁｬ

霧島「どうした？」

なるべく静かに声をかける。

A『冷えピタ新しくしておこうと思ったの。

あと、水も持ってきてくれる？』

霧島「待っててくれ。」

言われたものを用意して戻る。

お嬢に張り付いた左馬刻を

半ば無理やり剥ぎ取り、

でこに貼り付ける。

左馬刻「っ……ﾁｯ……来んな。」

霧島「もう出ていく。

お嬢、ここに置いておく。」

A『うん、ありがとう。』

ｶﾞﾁｬ

ふぅ。

一段と機嫌が悪いな。

あの二人の前じゃ威勢もよかったが

見栄張ってただけだな、ありゃ。

まぁ、どれだけ悪態つこうが

お嬢から離れようとしないあたり、

まだ落ち着いた訳じゃなさそうなのは

分かっていたが、

強がった分だけ反動も大きいって事か。

お嬢の言っていた通り、

今回は長引きそうだな。

一応あいつの部下共にも伝えとくか。

翌日

夜中にまたなんかあったみたいで

大変そうだったが

お嬢が何とかしてくれたらしい。

気づいたとしても、

ああいう時に俺は何も出来ない。

少しでも近づこうもんなら、

左馬刻はお嬢の言うことも聞かなくなる。

夜中に不安定になった左馬刻にとって、

お嬢以外の存在は全てが地雷だ。

あの空間には、誰も近付けない。

お嬢はいつも一人で相手をするが、

誰よりも扱い方を知っているお嬢なら

大丈夫だと思っている。

いつ起きてもいいように飯を用意し、

自分の仕事と家事をこなして行く。

恐らくまた昼近くまで起きないだろう。

そうこうしているうちに

2人が起きてきた。

霧島「おはよう。

………飯食えそうか？

粥にしといたが。」

左馬刻「っ……少し貰う。」

A『食べて薬飲んだら、横になろう？』

左馬刻「…………ん。」

A『霧島、私も少しでいい。』

霧島「分かった。」

そうは言われたが、

気持ち多めにお嬢の分を用意する。

お嬢はいつもこうだ。

左馬刻に合わせて量を変える。

だが、こんなやり取りを何度もしてるもんで

俺が言う通りにしない事も分かっている。