弱った左馬刻様の安定剤 (ページ3)

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着信ページ3

Aside

ここ1年近く連絡を取っていない彼から

急に電話がかかってきた。

彼が電話をしてくるのは大抵

一人で抱え込めなくなった時だ。

電話に出ると、辛そうな

息遣いのみが聞こえてくる。

慌てて彼の元へ向かう。

A『霧島、

左馬刻の居場所調べて、すぐ車出して。』

霧島「久しぶりにその名を聞いた気がするな。

最近は仲間達とよくやれていると思ったが。」

霧島はこんな事を呑気に話しているが、

お父さんの優秀な部下だけあって

仕事はしっかりこなしてくれる。

きっと、霧島はかなり偉い立場だろうに

私の世話係なんかをしてくれている。

正直、霧島には昔から面倒を見られていたから

今更誰かに変わって欲しくはないし、

霧島は私の事も、左馬刻の事もよく知っていて

とても動きやすい。

だから、霧島には悪いけど、

世話係はずっと霧島にお願いしたいと

お父さんに言ってしまっている。

霧島「組の下のもんの世話するより

お嬢の世話の方がよっぽど楽で

むしろ、ありがたいよ。」

霧島はよくこんなことを言っていた。

霧島「お嬢、行くぞ。

荷物はこれで全部か？」

A『うん、早く行こ。』

私の家から左馬刻の居場所までは

そう遠くなかったこともあり、

直ぐに現場に着いた。

着くと、そこには倒れた人が数人と

一人の男が立っていた。

霧島「左馬刻はどこだァ？

ん？あいつ、左馬刻のチームの…。」

そう言うと霧島は一人に声をかけた。

霧島「なぁ、あんた、入間銃兎だろ？」

銃兎「ん？……あなたは……？」

霧島「左馬刻の組のもんだ。

悪いが左馬刻を渡して貰う。」

そう言うと左馬刻を抱え上げる。

銃兎「待ってください。

彼は深手を負っています。

今他の警察官と救急車も来ますから

まずは病院に連れていくべきです。」

霧島「心配すんな。そういうのは

俺らの方が扱いに慣れてんだよ。

まぁ、俺らはこいつの家にいるから、

手が空いたらお前も来い。

確か、チームにもう一人いただろ？

せっかくだ。連れてこい。」

そう言い終え、車へ戻る。

私も霧島の後ろへ続く。

銃兎「あの、貴方は…？」

A『あ、…………Aと言います。』

霧島「……後で話してやる。」

そして、私達は左馬刻の家へ向かった。