真夜中 ページ18
Aside
夜中、左馬刻の体が震えていることに
気づいて目を覚ました。
そっと、だけど力強く、抱き寄せる。
左馬刻は泣いていた。
ここ数年は、泣いた姿を見なかったけど、
……熱のせいか、特に弱ってしまっている。
彼が、歯を食いしばって声を殺して泣いている間、
少しでも落ち着くように、不安が無くなるように、
静かに、心を通わせる。
少し、声をかけずに抱きしめている間に
左馬刻の思考がまた
沼の底に沈んでいるのが分かった。
慌てて、何度か声をかけて
彼の思考をこちらに向かせる。
こういう時の左馬刻に
考える隙を与えてはいけない。
左馬刻が欲しがっている言葉を選び、
なるべく思考が他へ向かないように
私にだけ、意識がむくように、、
そして、安心するように。
眠い頭で考えながら、言葉を繋いでいく。
先程まで暗かった外は
だんだん白みがかってきた。
まだだ。
見た夢が、特に良くなかったらしい。
一郎君。
彼のこととなると、
左馬刻は冷静でいられない。
何度声をかけても、抱き寄せ、キスをしても、
少し隙を与えてしまうと
すぐに思考がそちらへいってしまう。
どうしようか。
左馬刻「っ…A………
……っ…全然…足んねぇんだよ……
俺は……俺のせいで…お前は………っ」
A『左馬刻、ねぇ、左馬刻。
私も、キスだけじゃ全然足りない。
もっと、たくさん気持ちを伝えたい。
左馬刻は、私の気持ち、嬉しい?』
左馬刻「…っ……あぁ。…けど、
もっと、ほしい……。」
A『うん、……私も、もっと伝えたいし、
左馬刻の気持ち、もっと知りたい。
ねぇ、左馬刻?
体、なるべく負担かけないようにするから
…………シよっか。』
左馬刻「っ!……いや、…けど……」
A『お願い。
その代わり、してる間は
私の事だけを想って欲しい。
左馬刻の気持ち、たくさん教えて欲しい。
私も、たくさん伝えるから。』
左馬刻「……分かった。」
それから、左馬刻の想いを受け止め、
私の想いを吐き出し、
朝日が完全に昇るまで、私達は繋がっていた。
たくさん想い合い、
疲れ果てて眠った左馬刻を残し、
軽くシャワーを浴びて戻ろうとすると、
霧島に声をかけられた。
489人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆず | 作成日時:2019年7月17日 2時