検索窓
今日:15 hit、昨日:10 hit、合計:331,877 hit

ページ17

左馬刻side





あれから少し話をして、二人は帰って行った。



そのままAも風呂やらなんやら

諸々の用事を済ませ、早々に寝室に戻ってきた。




A『明日、熱下がらなかったら

病院に行こう。一緒に行くから。』






左馬刻「………いや…いい。」




A『そういうこと言わないで。


とにかく、今日はもう寝よう。…寝れそう?』




左馬刻「……あぁ。」




返事をして、ベッドの中へ入ってきた

Aに抱きつく。




A『おやすみなさい。』


左馬刻「おぅ。おやすみ。」









夜中




うなされて目を覚ますと、俺は泣いていた。

泣くなんて、数年ぶりか。



いつだって、泣く時はこいつの前でだけだった。





今回は…………そうだ。



Aが一郎の奴らと親しくなって

俺のもとからいなくなったんだ。



かつては仲間だった、

弟分のような存在だった奴。


あいつの事は許せねぇ。




だが、Aがあちら側へついてしまったら?

俺は、プライドや自分の信念より

Aと一緒にいることを取るかもしれねぇ。


…………離れたくない。




もう、誰も……

俺の前からいなくならないでくれ。






ギュッ





左馬刻「っ!………A…?」





A『いなくならないよ。

大丈夫……ずっとそばにいる。

他の誰にも、興味ないよ。



………………こっち向いて……チュ』





左馬刻「…っ…ぜってぇ……

いなくなんじゃねぇぞ………っ……


一郎のとこには、行くな。」





A『うん、……分かってるよ。

会ってないから。


私は左馬刻のものだから。』






俺が落ち着くまでずっと俺を強く抱きしめ、

声をかけ、キスをして、ただ、待ってくれる。




こいつは、俺がどんな態度を取っても

全てを受け入れてくれる。

それが心地いい。


だから、分かってしまう。




一郎だけじゃねぇ。

こいつはどんな奴の心にも入り込む。

自然に、なんの摩擦もなく。




だから、怖いんだ。

いつか、俺の手元から離れてしまいそうで。



そうなった時、

俺は自力で立っていられるんだろうか?


その恐怖が、俺の覚悟を鈍らせる。







A『……ときっ!……左馬刻っ!』



左馬刻「…っ!………聞こえてる。」




A『嘘。


…………ねぇ、左馬刻。

私、左馬刻が好きなの。どうしようもなく。


私には左馬刻の隣しか居場所がないの。

お願い、一人でどこかへ行かないで。』

真夜中→←作者から。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (91 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
489人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆず | 作成日時:2019年7月17日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。