迎えに行く5[おそ松] ページ10
実家から持ってきているマフラーをぎゅ、と握りしめた。
「マフラー手放せない…」
「そんなの言ったら春コートとかまだ先の先よね。」
「高校生とかこの時期でも短いスカートだね。ふふっ。」
「若いわぁ…嫉妬よ。」
校舎を抜け、凍てつくとまでは言わないまでも、冷ややかな風を頬に受けながら歩く。
「ねえ、どこまで一緒に帰ろうか。」
帰り道の違う二人で帰る時のお決まり文句。
清潔感のある石畳の上を、乾いた足音を鳴らしながら歩いているのは、私と親友だけ。
20時は微妙な時間帯で。
学生はとっくに帰っていて、残りたがりな学生がちらほらと帰る時間。
どこまで一緒に帰ろうか、と訊いた時にはもう校門で。
先を歩いていたともちゃんは、んー、と言いながら門を出て左、右へと視界を巡らせる。
…信号の具合でも見ているんだろうか?
「そうねぇ…………あっ。」
「…?どうしたの?」
ともちゃんが笑って振り向いた。
意味が解っていない私の顔はきっと気が抜けているはず。
「用事思い出しちゃった笑。Aちゃんはいつもの方から帰りな。私は反対に行って用事済ませて帰るから。ごめんねっ、良い実習をっ!」
「はぇ!?」
ゴメンという割りにびっくりするほど爽やかな笑顔を向けられた。
ええーっ、せっかく最後の帰り道なのn
「ほぉらっ!夜道は危ないからしっかり帰るのよ?」
「ちょっ…」
肩をぺし、と叩かれる。
「じゃね!」
先を歩いていたともちゃんは半身をくるりと向けて手を振った。
「じゃ、じゃあ…!」
つられて手を振り返す。
ぽつん……
思わず苦笑いしながら校門を出て、言われた通りの方角へ進む。
たまには音楽でも聞くか、とミュージックプレイヤーに手をかけた時だった。
「……えっ……」
歩く先に見えたのは…。
「…そんな……。」
赤パーカーの彼だった。
「いやぁ!待った待った!!!結構大変だったんだよ?家出たのが4時くらいで、研究室まだ終わってないーって女の子から聞いてさ。」
「…なんで……こんな、寒いのに…」
「えー…それ聞いちゃう?約束したじゃん。 迎えに来るって。」
「〜〜〜〜ッ/////」
思わず駆け寄る。
親友が帰り道を変更した理由も、彼がここに立つ理由も解ってしまった。
4時間近く、いや…どこかで休憩していたとしても、長い時間外に立たせていたに違いない。
「そんな薄着で…っ!」
何よりこの軽装。
パーカー1つでこの寒さの中立っていたんだとしたら体に悪いのは明白だった。
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ちよ(プロフ) - イラさん» イラちゃん…!ありがとう…!ほっこりしてくれたならよかった…!でもこっからは原作ネタの六つ子話とかも入れていく予定だからねww応援本当にありがとう! (2016年10月22日 21時) (レス) id: 7980a9d63a (このIDを非表示/違反報告)
イラ(プロフ) - お久しぶりに来たけど相変わらずほっこリする小説だよ〜!!人の温かみや辛さがひしひし伝わってきたよ!!ゆっくりで良いから頑張ってね! (2016年10月22日 16時) (レス) id: 1dff651d8b (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - わあ”!さきさん!!どんぴしゃですね!!笑 現役薬学生さんにコメをいただけるとは…!本当にありがとうございます!共感ほんとありがたいです〜><//(実習はもう終わられたのでしょうか(/ω\)) さきさんの大学生活も心の底から応援しております…! (2016年10月17日 23時) (レス) id: a6e972599e (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - (実際プロタミン聞かれたときに心臓が体外に吹っ飛ぶかと思ったよね…) (2016年10月17日 23時) (レス) id: a6e972599e (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 私某私立女子大の薬学生なのですごく共感できます!これからも頑張ってください! (2016年10月17日 22時) (レス) id: 1e3e119e4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちよ | 作成日時:2016年9月19日 20時