病院実習6 [六つ子] ページ43
「では中に移りましょうか。中の保育器は掌サイズの赤ちゃんを扱っています。大きな音を立てないように。」
「「「「はい。」」」」
その流れで私たちはNICUを見学した、
厳重に滅菌が施された部屋に入り、揺りかごのある明るい部屋とは真反対の、機器灯りしかない暗い部屋に入る。
「足元には注意してください。」
母親の"胎内"をイメージする薄暗さ。
群を成す保育器の群れ。
そして隣接する母子の触れ合い室。
「わぁ…」
保育器の中で、生きていくにはあまりにも心
実習生の井勝さんが水を掬う様に掌を動かし、赤ちゃんの大きさを想像していた。
「うつ伏せの子ばかり……」
驚く程、ほとんどの新生児がうつ伏せの状態で寝かされているのでそう溢せば、良く気づいたわねと先生は笑った。
「胎内ではね、胎児は胎盤に向かってうずくまってるの。だからうつ伏せの方がより、胎内と似た状態で赤ちゃんが安心できると言われてるわ。」
「「「「なるほど…」」」」
「今年の薬学生さんですか?」
先生の話に頷いていると、後ろから先程の看護師さんが声をかけてくれた。
「ゆっくり見ていってくださいね。何せここは"伝説のNICU"ですから。」
「伝説…?」
と、北峰君が聞き返す。それに対して看護師さんは「あっ。」と言葉を添えて笑った。
「話を振っておいてごめんね、企業秘密で詳しくは話せないんだけど…昔、ここで多胎児を無事に世に送り出せたという噂…というか伝説があってね。母子共によ?それだけここの体制は充実しているって話なの。」
「へぇ…多胎…。」
「習ったことあるわ。母子ともに負担が大きいって。」
「大変よねえ…お子さんだって何らかの障害を持っててもおかしくないはず。母子共にって凄い…」
「……。」
い、や……まさか、ね?いやそんなまさか。
ちょっと私は口を挟むのをやめておこう(笑)
「さあ、皆さん。次の部屋に移りますよ。」
話が落ち着いたところで、笠原先生が声をかける。
伝説の話で少し早まる鼓動を感じつつ、保育器部屋を抜ける間際。
最後に一目、と保育器の赤ちゃんに少し目を向ける。
『Fight!』
と、応援メッセージがかかれていた。
**
「確か5……いや、6?六つ子だったかなぁ?一卵性という尾ひれ付きで。」
「「「絶対盛ってる!!!」」」
「………………。」
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ちよ(プロフ) - イラさん» イラちゃん…!ありがとう…!ほっこりしてくれたならよかった…!でもこっからは原作ネタの六つ子話とかも入れていく予定だからねww応援本当にありがとう! (2016年10月22日 21時) (レス) id: 7980a9d63a (このIDを非表示/違反報告)
イラ(プロフ) - お久しぶりに来たけど相変わらずほっこリする小説だよ〜!!人の温かみや辛さがひしひし伝わってきたよ!!ゆっくりで良いから頑張ってね! (2016年10月22日 16時) (レス) id: 1dff651d8b (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - わあ”!さきさん!!どんぴしゃですね!!笑 現役薬学生さんにコメをいただけるとは…!本当にありがとうございます!共感ほんとありがたいです〜><//(実習はもう終わられたのでしょうか(/ω\)) さきさんの大学生活も心の底から応援しております…! (2016年10月17日 23時) (レス) id: a6e972599e (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - (実際プロタミン聞かれたときに心臓が体外に吹っ飛ぶかと思ったよね…) (2016年10月17日 23時) (レス) id: a6e972599e (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 私某私立女子大の薬学生なのですごく共感できます!これからも頑張ってください! (2016年10月17日 22時) (レス) id: 1e3e119e4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちよ | 作成日時:2016年9月19日 20時