憔悴と恋慕3 [一松][十四松] ページ41
**
「寄りにもよってAにそういう人が当たるなんてね。」
「確かに！ね！Aちゃん！その人が飲んでた薬とか！そーゆーの説明すんの！？」
「そうですね、主に経過確認、副作用の有無、薬による不便を感じていないかーとか。」
「すぅっげー！！！！じゃあ！じゃあ！その人の」
「こ、こら、十四松っ、よーしよしよしよし…」
「あっ、ごめんっ…」
興味津々に話を聞く十四松さんと、彼を宥める一松さん。
いつもはこんなんじゃないんだけど…と眉をひそめる彼と、口に袖を当てている彼に笑いかけた。
インパクトが大きい体験だが、その質問が不快と言うことは全然ない。
「ふふっ、全然。患者さんのパーソナルデータは"守秘義務"から何も言えませんが、手順や倫理観とか、学んだ事くらいなら。」
「守秘義務！！！？」
「おまえ…言ったそばから…」
「業務上知り得たことは他言無用ってやつです。医療従事者、法律関係者等が負う義務ですね。……とりあえず、重い病気の人から思いもよらぬ一言をもらったってだけなんです。」
そう説明すれば、十四松さんは深く頷いた。
やっぱり十四松さんは…少しこっちに興味があるのかもしれない。
「まあ…なんていうか…」
答えのない命題に一松さんが唸る。
「おれは…"
ガサ、ガサと一松さんは煮干しの袋をまさぐってこちらに向かってしゃがんだ。
「あんたがまた無意識に"正義面"に振り回されて、自分の心配を怠るなら……おれはどうしたらいい…？」
「…………。///」
はい。
…と煮干しを渡される。
自分はきっと惚け顔だ。その表情を深読みして、一松さんは自分も煮干しをくわえる。
「毒じゃないよ、ほら。」
「や…//そうではなく……ん、困ったな…//」」
「……？ はｯw…変なA。」
馬鹿、馬鹿、馬鹿、ほんとおめでたい奴。
患者さんにも、十四松さんにも、一松さんにもこんなに心揺さぶられて…
「兄さん、兄さん、ワイも煮干しほしいがな！」
「ほんまでっか〜。いや悪いなあ、忘れてたんとチャウデ。今あげよなー。」
「兄さん話の解るお人やでー！あはははっ！」
****
「…とうとう最後の日になったね…。」
「最後とは思えないくらい実習スケジュールすごいことになってるけど…」
「いやぁ！最後だからこそじゃない？」
「この4人でいられるのも最後かあ…」
実習生同士で話し合う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 134人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちよ(プロフ) - イラさん» イラちゃん…！ありがとう…！ほっこりしてくれたならよかった…！でもこっからは原作ネタの六つ子話とかも入れていく予定だからねｗｗ応援本当にありがとう！ (2016年10月22日 21時) (
レス) id: 7980a9d63a (このIDを非表示/違反報告)
イラ(プロフ) - お久しぶりに来たけど相変わらずほっこリする小説だよ〜！！人の温かみや辛さがひしひし伝わってきたよ！！ゆっくりで良いから頑張ってね！ (2016年10月22日 16時) (レス) id: 1dff651d8b (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - わあ”！さきさん！！どんぴしゃですね！！笑 現役薬学生さんにコメをいただけるとは…！本当にありがとうございます！共感ほんとありがたいです〜><//(実習はもう終わられたのでしょうか(/ω＼)) さきさんの大学生活も心の底から応援しております…！ (2016年10月17日 23時) (レス) id: a6e972599e (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - (実際プロタミン聞かれたときに心臓が体外に吹っ飛ぶかと思ったよね…) (2016年10月17日 23時) (レス) id: a6e972599e (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 私某私立女子大の薬学生なのですごく共感できます！これからも頑張ってください！ (2016年10月17日 22時) (レス) id: 1e3e119e4d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちよ | 作成日時：2016年9月19日 20時
