君の日常4[カラ松] ページ32
「……。ありがとう、Aちゃん。」
楽になったようにカラ松さんは笑った。
「最高の舞台だったぜ。」
「…//」
何だか、このシーンを演じさせてもらったのには…意味がある気がした。
あまり今まで興味もなく、このシーンは有名だとしか思ってなかったけれど…。
「あの…バラの例え、いいですね。」
「…フッ、そう思うだろう?俺もあそこが好きなんだ。」
【名前がなんだというの?バラと呼ばれるあの花は、ほかの名前で呼ぼうとも、甘い香りは変わらない。】
"存在証明"という奴だろうか。
"あなたはあなたなんだよ、それを私は知っているよ"と言っているような。
台本について語れることを彼は嬉しく思っているらしく、表情はとても穏やかだった。
「【自分である証明は名前じゃない】クールだよな。でも…」
だが、その表情も少し曇る。
「『自分はどこにいるんだ』って、いつか言ったが…。もちろん責めるとか、そんなつもりじゃなくて…Aちゃんがたくさん喜んでくれたらっ…て……っ…!?」
ぱふ、と口を自分でふさぐ。
思ってた以上の言葉を出してしまったのかな、と思わず笑う。
「不快なんて思ってませんよ。むしろ…心配してくれたのは嬉しかったです。幸せ者ですよね。」
「…Aちゃん。」
「あの後、共感してくれたでしょう?『俺もわかる気がする』って…。でもこの痛みはきっと…カラ松さんの方が大きいとも思ったんです。私はただ…なんとなく、生きてるだけですから。」
「…フッ、優しい君はいつも自分を例外視だ…。困った子猫ちゃんだぜ。」
しん、と舞台は静まり返る、
「一卵性六つ子。…きっと、カラ松さんも、皆さんも大変だったと思うんです。」
「…」
「私は……カラ松さんを、カラ松さんだと思っていますよ。あなたが、"誰さん"であろうとも。あなたはここにいる。」
「…!?//」
そう、きっと、これが答えだった。
「"あなた"は、財布を無くして泣いていた私を助けてくれて、泊まってくれて、助言してくれて、一緒に悩んでくれて、不良からも助けてくれた…大切な人です。」
「……っ…!なら"君"は…こんな俺を認めてくれた唯一の女神だぜ、ハニー。」
そうだ、【自分】が見えないのならば…相手に見つけてもらえばいいのかもしれない。
一人で【自分】を見れない私達だから、【鏡】のように、もう一つの目を。
…君は気付いていないかもしれないけれど、あなたと、皆のお陰で、私は随分と…自分を見られるようになった気がするの。
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ちよ(プロフ) - イラさん» イラちゃん…!ありがとう…!ほっこりしてくれたならよかった…!でもこっからは原作ネタの六つ子話とかも入れていく予定だからねww応援本当にありがとう! (2016年10月22日 21時) (レス) id: 7980a9d63a (このIDを非表示/違反報告)
イラ(プロフ) - お久しぶりに来たけど相変わらずほっこリする小説だよ〜!!人の温かみや辛さがひしひし伝わってきたよ!!ゆっくりで良いから頑張ってね! (2016年10月22日 16時) (レス) id: 1dff651d8b (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - わあ”!さきさん!!どんぴしゃですね!!笑 現役薬学生さんにコメをいただけるとは…!本当にありがとうございます!共感ほんとありがたいです〜><//(実習はもう終わられたのでしょうか(/ω\)) さきさんの大学生活も心の底から応援しております…! (2016年10月17日 23時) (レス) id: a6e972599e (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - (実際プロタミン聞かれたときに心臓が体外に吹っ飛ぶかと思ったよね…) (2016年10月17日 23時) (レス) id: a6e972599e (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 私某私立女子大の薬学生なのですごく共感できます!これからも頑張ってください! (2016年10月17日 22時) (レス) id: 1e3e119e4d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちよ | 作成日時:2016年9月19日 20時