検索窓
今日:15 hit、昨日:3 hit、合計:44,042 hit

君の日常3 [カラ松] ページ31

思わず声が上ずる。
なんでって、彼はもう"舞台の人間"のような雰囲気を纏っていたからだ。

「戯曲:ロミオとジュリエット、…知っているか?」
「ろ…ろみおー、ろみおーくらいしか…」

本当に教養が少なくてごめんなさい状態だが、ない知識を絞り出すことにする。

戯曲:ロミオとジュリエット。
たしか、仇敵同士の家系の男女が愛し合ってしまった悲恋の物語。
ロミオはなんらかの理由で土地から追い払われ、悲しみの中、別の家の人間と結婚しなくてはならなくなったジュリエット。
彼女を不憫に思った聖職者がロミオとジュリエットの結婚のために一芝居打つ。ジュリエットを仮死状態にし、起きる頃の早朝にロミオに迎えに行かせるが…作戦の伝達不足で、ロミオは「ジュリエットが死んでいる」と勘違いして毒をあおり、自死する。
遅れて起きたジュリエットは、最愛の人の死を目の前にして最愛の人の短剣でその一生を終える。
という内容だ。たぶん。

その中でも、お互いが恋に落ち、恋人同士になろうと約束したシーンは特に有名だ。
確か、「ロミオ、なぜあなたはロミオなのか」と嘆くところから始まるものだったけど…。


「よかったら、付き合ってくれないか。」
「えっ…//」


そう手渡されたのは、まさにその戯曲の台本だった。

「むっ、無理ですよ!私そんなすごいことしたことない…!読んだって絶対棒だし…!それに、それにカラ松さんの分の台本がな」
「俺は覚えているから大丈夫だ。」

にこ、と返される。

「えっ…//で、でも、でも…」
こんな歳になって「でもでも」言ってる自分が怖いけど、意に反して顔は熱くなっていく。

「ここならきっと知ってるだろう?」
「…!//」

近寄ってカラ松さんがページを開く。あ…ここは……

「ここは…確かに…えっ、でもわらっ、笑わないでくださいね…」
「ああ。笑わない。」
「もう笑ってますよ!」


優しい光が注ぐ中。
観客のいない劇が、そっと始まった。


****


「名前がなんだというのでしょう。…バラと呼ばれるあの花は、ほかの名前で呼ぼうとも、甘い香りは変わらない。…ロミオ、どうか…」

台本から目を離す。

「その名を捨てて…」


「ええ、お言葉通りに。…恋人と呼んでください、それがぼくの新たな名前。これからはもうロミオではない。」


胸に手を当て、言い切るカラ松さんの姿は本当に綺麗に思えた。
誰かがそれを「痛い」と表現したとしても。
しっかりとした姿勢で言い放った姿は…綺麗で。

君の日常4[カラ松]→←君の日常2 [カラ松]



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (63 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
134人がお気に入り
設定タグ:おそ松さん , 夢小説 , 恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ちよ(プロフ) - イラさん» イラちゃん…!ありがとう…!ほっこりしてくれたならよかった…!でもこっからは原作ネタの六つ子話とかも入れていく予定だからねww応援本当にありがとう! (2016年10月22日 21時) (レス) id: 7980a9d63a (このIDを非表示/違反報告)
イラ(プロフ) - お久しぶりに来たけど相変わらずほっこリする小説だよ〜!!人の温かみや辛さがひしひし伝わってきたよ!!ゆっくりで良いから頑張ってね! (2016年10月22日 16時) (レス) id: 1dff651d8b (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - わあ”!さきさん!!どんぴしゃですね!!笑 現役薬学生さんにコメをいただけるとは…!本当にありがとうございます!共感ほんとありがたいです〜><//(実習はもう終わられたのでしょうか(/ω\)) さきさんの大学生活も心の底から応援しております…! (2016年10月17日 23時) (レス) id: a6e972599e (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - (実際プロタミン聞かれたときに心臓が体外に吹っ飛ぶかと思ったよね…) (2016年10月17日 23時) (レス) id: a6e972599e (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 私某私立女子大の薬学生なのですごく共感できます!これからも頑張ってください! (2016年10月17日 22時) (レス) id: 1e3e119e4d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ちよ | 作成日時:2016年9月19日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。