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君の日常3[一松] ページ26

「…喋らないネズミを、気持ちの整理もできずに殺すのがいるんです。 一松さんを否定する理由なんて、ない。…猫だってあんなに嬉しそうです。それだけできっと十分…。」
「………。ね、気持ちの整理をつけることがそんなに大事なの?」
「わかりません…でも…、曖昧なまま事をするよりは…きっと…」
「……。」

秒針が響く。

笑っていた小兎先輩は。

あれはあれでネズミに対する態度を固めているのだろうかと、ふと考えた。

ああいう言動をすることで、自分の立場を明確化しているんだろうか。
自分を奮い立たせていたりするんだろうか。


「悩まなくていいように、気持ちの整理をつける人間がいるなら。それは自分のためでしょ。」
「……。」
「鼠のためじゃない。」
「………。」

視界が薄く滲む。
一松さんの言葉はいつだって、染みてきた。

「誰もが割り切る中で、Aがそうやって悩むなら。おれは…それをすごいと思う。」

俺は弱いけど…、と一松さんは言って頷き、
目を細めて柔らかく笑った。


「そういう強さも、あるよ。…A。」

「…いちまつさん…」


この未熟さが、"こういう強さ"…。

記憶が薄れることは怖いけど、それでも徐々に、この記憶は薄れていくんだろう。

でも、貴方がそう言ってくれるなら。
この事実を背負って、それでも歩くことができる気がする。
"一錠"にかかった重みにつぶされずに済む感覚さえした。


落ち着きと、幸せでため息をつく。


「はぁ…こんなに優しいのにもったいない…」
「え”。何急に。」
「いや、…こうして話してもらえる数少ない人間になれたなら……それはそれでいいですね。」
「っ…はァ!!?////」
「…そう言えば、縛ったりはもうしないんですか?」
「ごはっ…///いや、ちょっと待って、ていうか口…」
「口?」

つい、いじめちゃったなと思いつつ、理解できなかった単語を聞き返す。
口か唇かどうかしたんだろうか。
一松さんは掌を口元に当てて視線をはずす。


「もう口聞いてもらえなくなると思ってたんだケド……。」


だらだらと冷や汗を流しながら控えめに言う姿が可愛い。

「まさか。」
と返せば、へえ、と疑い深そうな返事が返ってきた。。

「あんたも大概変わり者っていうか…。」
「…まさか、私は普通ですよ。」
「普通、ねえ。」

思えば、私の外面を誰より嫌がった彼は、
触れる度…『普通』だと意気込む私を見透かしていたような気がする。

「まあ、今日はありがと…。」
「…!//」

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ちよ(プロフ) - イラさん» イラちゃん…!ありがとう…!ほっこりしてくれたならよかった…!でもこっからは原作ネタの六つ子話とかも入れていく予定だからねww応援本当にありがとう! (2016年10月22日 21時) (レス) id: 7980a9d63a (このIDを非表示/違反報告)
イラ(プロフ) - お久しぶりに来たけど相変わらずほっこリする小説だよ〜!!人の温かみや辛さがひしひし伝わってきたよ!!ゆっくりで良いから頑張ってね! (2016年10月22日 16時) (レス) id: 1dff651d8b (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - わあ”!さきさん!!どんぴしゃですね!!笑 現役薬学生さんにコメをいただけるとは…!本当にありがとうございます!共感ほんとありがたいです〜><//(実習はもう終わられたのでしょうか(/ω\)) さきさんの大学生活も心の底から応援しております…! (2016年10月17日 23時) (レス) id: a6e972599e (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - (実際プロタミン聞かれたときに心臓が体外に吹っ飛ぶかと思ったよね…) (2016年10月17日 23時) (レス) id: a6e972599e (このIDを非表示/違反報告)
さき(プロフ) - 私某私立女子大の薬学生なのですごく共感できます!これからも頑張ってください! (2016年10月17日 22時) (レス) id: 1e3e119e4d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちよ | 作成日時:2016年9月19日 20時

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