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私の目はとうとうおかしくなったらしい。様々な人の作った作品を見すぎたら、自分の作品が展示されている妄想までもを行ってしまっているようだ。想像力と創造力が豊かだね、私。


「……何か?」
「へ……」


自身が作り上げた好きな要素だけを詰め合わせた理想の男性が今目の前にいて、話しかけてきて、私と視線が交わっている。


「たー……くん……」


私がずっと見つめていたからか此方を向いた彼の顔は、見覚えがありすぎた。
横顔だけでも私の思い描いた通りだったのに、きちんと正面から見ることのできた彼の顔は私のたーくんであった。
しかも声まで聞こえちゃった。ドストライクな声なんだけど。え、ここまで私の妄想力って凄かったっけ?


「……失礼します」
「あっ、!ちょっと待ってたーくん!」


私が名前を呼んだ途端嫌な顔をした彼は淡々と冷たく言い放ち帰ろうとした。ので思わず大声を出して引き留めてしまった。しかも私がいつも呼んでいる名前で。


「とにかく、ここでは迷惑だから出ます。話はそれから」
「わ…」


ガシッと手首を掴まれて、早口で言われて、グイッと引っ張られて、驚いている隙も与えることなく外に出た。

嘘でしょ…どういうことなの…?彼は私の作りあげた妄想じゃないの?実在するの……?

そんなはずはない、と自問自答をしたかったが行き交う人のいる街の中で綺麗なビー玉のような瞳に私が映っていて、思わず息を飲んだ。




「──で?いきなり何なんですか?」


とりあえず近くのファミレスに入って荷物を置いてお冷を貰って、一言。
この人、私のたーくんではない。確かに俺様ドSキャラが好きだけれど、この冷たさは違う。完全に私を警戒していて嫌っている冷たさ。


「…ごめんなさい」


彼は偶然、似ているだけだったんだ。きっと明日の自分になれば、彼は全然私の理想のカレに似ていないと思うのだろう。
だから私は素直に謝った。勝手に勘違いしてしまったこと、展示会という神聖な場で大声を出してしまったこと、その他諸々を含めての謝罪。
でも目の前にいる彼は驚いた表情をしていた。まるで私が謝るという行動をしないと思っていたかのように。


「たーくん」
「え、」
「…って、貴方は僕のことを知ってるんですか?」


今度は私が驚く番だった。普通、たーくんって誰ですかって聞くのでは?予想外の問いかけになんて答えればいいのか戸惑っていると彼の方からすいません気にしないでください、と言われてしまった。

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緋歌梨(プロフ) - ちゃるちゃるさん» いえいえ! (2020年12月30日 22時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - 緋歌梨さん» そうなんですね!知らなかったです。教えて下さりありがとうございます! (2020年12月30日 22時) (レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
緋歌梨(プロフ) - コメント失礼します!みかんの白い筋は、アルベドって言うんですよ!ラテン語で“白さ”という意味です!このコメントはスルーしていただいても構いません。お節介ですいません… (2020年12月29日 20時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゃるちゃる | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年11月9日 17時

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