虚構-kwmr ページ40
「あﾞぁ〜疲れた！」
カタカタと長時間キーボードを打ち続けていたから目も肩も凝り固まってしまった。
明日が締切であるレポートを無事に提出して伸びをする。そして首をコキコキと鳴らしながらパソコンを片付けて秘密のノートを広げる。
使っている媒体が違うだけ机に向かっているのは何ら変わらない。けれども疲れなど一切感じず口角があがりながら思うがままに手を動かす。
──私はこの瞬間が大好きだ。
誰にも見せるつもりもない秘密のノートにひたすら描かれているのは自分が作り上げた理想の男性。
少し髪は天パで彫刻のように美しい目鼻立ちに透き通った白い肌、そして眼鏡。私は勝手に名前まで付けていて、“たーくん”である。
そんな彼に私の好きな言葉や表情をさせて一人ニヤニヤするのが楽しい。
今日はたーくんに「レポートお疲れ様。明日は1日俺が癒してやるよ」と頭を撫でながら言われるシチュエーションを描いた。
「えへへ……癒して〜〜！！！！」
我ながら上手く描けた。天才じゃん。と自画自賛をしてしまう程に自分が作り上げた妄想上の彼に恋をしている。
2次元オタクと言えるのか、そこすらも微妙である。けれど私のタイプにドンピシャな人間に出会えるわけないし、3次元ではないことは明らかだ。
でも、やっぱりどこかで実際に出会えないかななんて期待してしまっている自分がいる。芸能人と遭遇したいオタクよりも無謀だね。
*
基本提出物は当日ギリギリになってしまいがちな私が時間に余裕を持って提出した理由は、単純明快で締切日に予定が入っていたから。
「お、ここか」
美大に通っている友人から貰ったチケットを握りしめている。今日は友人の作品が展示されているらしく、しっかりと目に焼き付けようと思ってやってきた。私も、かつては美大志望だったからね。
地図を見ながら展示会に着いた私はチケットを受付で見せて足を踏み入れた。
「凄い…」
どの作品も素晴らしかった。絵画も彫刻も全部ひっくるめて芸術作品というものが私は大好きだから、時間を忘れて楽しめた。自分が夢を諦めていなければ、本当はこの中に私の作品も載ったのかななんて少し考えちゃったけど。
そろそろお腹も空いたし帰ろうかな。この興奮が覚めないうちに友人に感想を送り付けようと決めて、作品から初めて目を逸らした。
「……え？」
するとどういうことだろう。視線を逸らした先にも、素晴らしすぎる作品があって目が離せなくなっていた。
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緋歌梨(プロフ) - ちゃるちゃるさん» いえいえ！ (2020年12月30日 22時) (
レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃるちゃる(プロフ) - 緋歌梨さん» そうなんですね！知らなかったです。教えて下さりありがとうございます！ (2020年12月30日 22時) (レス) id: 6736db345f (このIDを非表示/違反報告)
緋歌梨(プロフ) - コメント失礼します！みかんの白い筋は､アルベドって言うんですよ！ラテン語で“白さ”という意味です！このコメントはスルーしていただいても構いません｡お節介ですいません… (2020年12月29日 20時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃるちゃる | 作者ホームページ：
作成日時：2020年11月9日 17時
