白馬の王子様【赤司征十郎】

16話 ページ16

「お前花嫁見たか？」









「いえ。まだ見ないでって言われてるので……」









「そうか」








そんな時だった。









「やばいよ!!」





「早く行かなきゃ!!」








3，4人の女の子が一斉にこっちへ向かってきた。









そのうちの1人が私とぶつかり……









「えっ!?」









バランスが崩れて私の体は傾いた。









倒れるっ……








そう思って目を瞑ったが、痛みはなかった。









その代わりにふわっとシャンプーの匂いがしてきた。









おそるおそる目を開けるとそこには見覚えのあるスーツが見えている。









「あぶねぇ……周りを見て走れよな……ったく」









顔を上げると宮地さんがさっき私にぶつかったらしい女の子を見て呆れているのがわかった。









「大丈夫か？」









そう言って私の顔を覗き込んでくる宮地さん。









……ある意味大丈夫じゃない。









私がいるのは宮地さんの胸の中。









つまり周りから見れば私は宮地さんに抱き着いているように見えるのだ。









返事をしない私に宮地さんも気づいたようで……






「わ!!わりぃ」






「だ、大丈夫です」









慌てて離れた私達。









運よく私達が起こした事件は建物の外で周りに人はいなかった。









まあ、建物の中で人が見ていたら別の話だけど……









「ありがとうございました」









「い、いや……怪我がなくてよかったよ」









私も宮地さんもお互いに気まずいので目を合わせようとしない。









「宮地〜」









2人でビクッと肩を揺らしたが、この男性は何も見ていないような接し方だったので安心した。









「そろそろ時間だぞ」









その男性がそう言ったので私たちは中に入った。

17話→←15話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す