硬貨44枚 ページ46
『_____はい、はい。失礼します』
電話が切れ、無機質な音が耳に届く。
安堵と疲労で、Aは空き教室の床に座り込む。
終わった。ようやくこの地獄から開放された。
1人の犠牲も出さずに。よかった、母さんはまだ生きてる。
『とりあえずボイスメッセージだけでも送っとこ』
今まで相手をしてきた大人たちにボイスメッセージを残す。ありがとうとかの感謝の言葉を添えて。
彼らはもう、"パパ"から"赤の他人"へと成り下がる。このスマホのデータも削除して売ってしまおう。スマホなんか2台もいらない。ゲームなんかやらないし1台あれば十分だ。
『…データの削除ってどうやるんだっけ〜………』
普段使いのスマホを片手に、仕事用スマホを操作する。以前イデアに、不調ついでに教えてもらったが忘れてしまった。メモをとっておくべきだったな、と後悔。
誰かに頼めばすぐに終わる。助けを求めればすぐに来てくれるだろう。
でもそれが面倒だった。楽したいという欲よりも疲労感が圧倒的に勝っていた。
しばらく奮闘し、スマホの初期化が終了する。
一息ついてぼーっとしていると、廊下から足音がした。
なんとなくその相手は分かっている。歩き方の癖が分かってしまっているから。
『…狩人サマでしよ』
そう呟くと、帽子の鍔を上げてクツクツと笑った。
姿を見せたルークに、Aも頬を緩める。
ルーク「オーララ…足音を消したはずだったのだけれど」
『ちゃんと分かりにくかったよ』
ルーク「それはこの上ない褒め言葉だね！ボンジュール、ムシュー・ミツバチ！何だか晴れ晴れとした顔をしているね？」
Aの横に腰を下ろし、ルークは微笑みをかけた。
尻尾だって揺らしてないし、鼻歌だって歌ってない。それでも僅かな表情の差にルークは気付いた。そりゃあそうだ、出会ってから今までずっとAのことを見てきたのだから。
『狩人サマに聞きたいことがあるんだけど、いーい？』
ルーク「ウィ！ムシュー・ミツバチが知りたいことなら何でも教えよう！分からなければ調べてくるさ」
『いやそんな難しいことじゃなくて………』
"さぁ、何なりと！"と嬉しそうなルークに若干引き気味のA。
まぁいつものことか、と気にせずに質問を口にした。
『ムシュー・ミツバチってなぁに？由来は何処からなの？』
長期に渡りAを軽く悩ませていた問題。ようやくスッキリできる、と少しだけ喜びを感じていた。
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しお(プロフ) - 完結おめでとうございますっ作者様の作品どれも大好きです！！ほんとにどタイプです(; ;)新作も楽しみにしています！頑張ってください！ (2020年8月17日 18時) (
レス) id: 555d662f3a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるこ氏(プロフ) - 完結おめでとうございます！！すっごく読んでいて楽しい作品でした！またどこかで貴方様の作品に出会えますように（＾ν＾） (2020年8月16日 22時) (レス) id: f3351ce51f (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - とても面白いです。この作品が更新されるのを毎日心待ちにしてます。更新大変だと思うので作者様なりのペースで頑張ってください！応援してます。 (2020年8月7日 22時) (レス) id: 9f253d2950 (このIDを非表示/違反報告)
諒(プロフ) - イライ&ナワーブさん» ご指摘ありがとうございます！お手数ですが、誤表記の話数をお教えいただけませんか？ (2020年8月7日 22時) (レス) id: 20c69aa8ad (このIDを非表示/違反報告)
イライ&ナワーブ - とても面白いと言うかBL最高！ (レオンではなくてレオナですよ) (2020年8月7日 21時) (レス) id: 1da65a8f09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：諒 | 作成日時：2020年8月2日 13時
