214.王と傾聴 ページ9
「確か現当主は、アイドネ・シュラウド...だったか？」
「いや、彼女は既に没した。現当主はアイドネの息子である、イデアの父が務めているはずじゃ。」
「そうか...人間は本当に代替わりが早い。」
ご長寿トークをしている妖精と聞いているお若いのを横目に、短命の彼とその側近は声量を落として部屋の端で話し合っていた。
「アルタイル君、助けにいく？」
『行くわけないだろう。そのうち帰ってくるのだから。』
「そうなの？やっぱ鷲の谷王家の古文書？ね、教えられる範囲でいいからさ、細かいところ教えて。」
『王家の書...まあ、それもあるか。いいだろう。』
アルタイルの持つS.T.Y.X.情報のソースは王家の書というよりも精霊や精霊の方の王家(便宜上そう呼ぶ)の手記によるものだ。
血を薄めないよう、それこそ神話の時代から綿密と続いてきた家に伝わるものは多い。
マレウスが茨の谷に伝わる説明を始めたので、まずはそちらを聞くことを促した。
曰く、かつて魔法を使える者が「魔女」「魔法使い」と呼ばれていた時代、嘆きの島の番人を恐れぬ者はいなかった。
「魔法使いが我を忘れて力に溺れる時、嘆きの島より裁きが下る。」...と。
組織の起源は神々の時代。
魔法とブロットの因果関係が確立されていない、それこそ「粘土板に文字を掘ってた」ほど昔々のこと。
『...ふむ。』
マレウスは一旦そこで話を切った。
匿秘事項ゆえ、そこまでしか伝わっていないのか、はたまた言わなかっただけなのかは定かでないが、妖精側がある程度の情報を持っているということが分かった。
「だが好奇心旺盛な人の子らは魔法の研究をやめなかった。そして時は流れ、いつしか魔法は安全な技術となり...''魔法使い''や''魔女''は''魔法士となった。」
研究、解明。奇跡は必然へ。
人間は自分の理解を超えたものを恐れる。
逆に言えば、法則さえ理解できれば骨の髄まで利用しようとするのが人間だ。
魔法は、魔法を使える人間は魔法士として免許という型に嵌められ、道理としてルールで縛れる存在になった。
利用価値があると判断された魔法というものは最早人々の暮らしに欠かせないもの。
...それはときにその危険性を忘れてしまうほど。
「いつしか嘆きの島の番人どもは、歴史の表舞台から姿を消した。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2767人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あお - 今日この作品を見つけて、一気に読みました！！とても面白かったです☺男主が魅力的でとても楽しくお話を読ませていただきました！お体に気をつけて更新頑張ってください！！ (3月30日 23時) (
レス) id: 63ae223e49 (このIDを非表示/違反報告)
葱(プロフ) - 遅ればせながらお誕生日おめでとうございます。更新をずっとお待ちしておりました！これからも無理のない範囲で更新頑張ってください！ (3月29日 1時) (レス) id: ec1bbf9e0f (このIDを非表示/違反報告)
弐番目の子(プロフ) - 遅れました！お誕生日おめでとうございます！㊗️成人!これからも応援しています！ (3月24日 15時) (レス) @page15 id: ba785ca851 (このIDを非表示/違反報告)
白 - お誕生日、おめでとうございます！！！！久々の更新でとても嬉しいです！これからも応援してます！！！！ (3月24日 9時) (レス) id: 009b20195a (このIDを非表示/違反報告)
ゆきっき(プロフ) - 少し遅れましたが、お誕生日おめでとうございます！更新が見られて嬉しいです！ (3月24日 0時) (レス) @page15 id: e77387d96a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：陽炎 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Kagerouhp/
作成日時：2022年8月31日 0時
