【ツイステ】ヴィランじゃないので帰らせてください。

幻覚シンドローム！2 ページ25

「おはようございます。」



なんで。




「随分、驚いた顔をしていますね。」




なんでよ。





夢なんじゃないの。





「おや？」



私は、目の前の彼に手を伸ばし
頬に触れた。



『……あったかい。』



今度は、彼が驚く。




「まだ夢を見ていますか？

酷く、魘(うな)されていましたよ。」




私は自分の手をつねった



『痛い。』



「"現実"ですから。」


つねって赤くなった手を

彼、ジェイド･リーチは
優しく撫でた。



「先程は、すみませんでした。」

ジェイドくんは真剣な顔をして謝った。


それは、いつものニコニコとした顔ではない。
眉を下げ、困った顔でもない。



本当に心から謝っている顔だった。



『美味しかったのは本当なので、別に。』


毒と知っていれば食べなかったけど。



「そうですか…。
でも、予想外でした。」



それは……きっと
ヴァネッサさんのことを言っているのだろう。



「本当は、貴方が口にする事はなかった。
僕の計算ミスです。

"彼女は"キノコがお嫌いですから。」



アズールから全て聞きました。
とジェイドくんは言った。


「たまには仕返しをしようかと試みたのですが
失敗でしたね。ふふ。」



物騒！！！！！




これは、あの子も激怒するわ。



『結果、私は酷い目に会いましたけど。』



「すみません……。
反応が面白かったので、
止めることを忘れていました。」


モルモットかよ、私は。
思わずツッコミそうになった。


『大丈夫です。症状も収まったので！』


それに、植物園での騒動に比べたら
なんて可愛いイタズラなんだ。


一周まわって愛おしく見えるぞ。



「とはいえ、まだ心配です。」


起き上がろうとする私を
ジェイドくんは抑えた。




「お水と解毒剤を持ってきますので
安静にしていてくださいね。」



私を安心させるかのように


頭を撫でると、鼻にキスを落とし




部屋を出ていった。









『はっ……？』






いやいやいやいや






現実？嘘だ！！！！！！




何、何が起きたの今。
そ、そんな事されても
推し変なんてしないんだからな！！




『まだ夢見てるのかも……！！』




私は勢いよく布団を被り
赤くなる頬を隠した。

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