P−4◆お掃除大作戦 ページ7
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少し不安になってくるほど号泣しているクロウリーを前に、Aが手持ち無沙汰になり周りをきょろきょろ見回す。自分と父以外この部屋には誰もおらずいてほしくも無いのだが、あまりの所在のなさについついそうしてしまった。
目の前の相手がまともな受け答えができる状態だとはとても思えないが、無言で部屋を出ていくのも気分が悪いので、扉に足を向けつつ一応声をかける。
「……じゃあ、私は早速大掃除に取り掛かるということで……また後でね、お父さ」
「掃除業者にお手伝いを頼みましょうか?!」
「呼んだら怒るからね!!」
何とバッチリ聞いていて返事も返してきた。
気遣い(ちょっと過剰)はありがたいがしっかりと拒絶した上で、Aは勢いが付いてしまわないよう注意を払いながらゆっくり扉を閉めた。
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──さて、どこから手をつけるべきか。
「名は体を表す」の代表例として辞書に載っても良いように思えるオンボロ寮の前で、Aは「むむむ……」と唸りながら腕を組んで建物を見上げた。
本当にオンボロだ。これはもう建て替えたほうが良いのではないか。しかしAにそんな技術は無い。ついでに言うなら、そこまでのんびりお片付けしている程の時間も無い。
最悪、入学式の夜までに寝泊まりできるスペースさえ確保できていれば一応は何とかなりそうだが、それは出来る限り避けたい。
あとそうなれば絶対クロウリーに「強制学園長室でお泊まり」を繰り出される。「自立したい!!」と言い放った手前それは恥ずかしすぎる。
「寝泊まり……寝室っぽいところから掃除していこうかな」
心の中のAが「良いんじゃない?」と返事をする……という妄想を終え、Aは恐る恐ると言った感じで古びた扉に手をかけた。
錆びきっていて開かなかったらどうしよう、と思うと同時に扉が開く。良いことだ。
天井から虫なりネズミなりが降ってこないかと首を縮める前に、まず3連続でAの鼻からくしゃみが飛び出た。
いくら何でも埃っぽすぎる。世界有数の埃っぽさだ。
苦しげに鼻を啜りながら寮の中を見ると、なるほどどこもかしこも埃まみれだ。思わず真冬の雪景色を連想してしまう。これは早急に何とかしなければ。
「はたきはたき…………ん?」
ふと、どこからか視線を感じた。
まだ午前中だというのに、ちっとも光が入らず真っ暗な室内をぐるっと見回してみる。
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ヒメアミ(プロフ) - もちうさぎさん» お話が進んだりユニーク魔法とかがお披露目になったりすると多分速攻でバレる(?)と思うんですけど、一応某塔の上のプリンセスを元ネタにしてます……!😌 (2023年4月9日 14時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
もちうさぎ - 夢主ちゃんのモデルって誰ですか! (2023年4月9日 5時) (レス) id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ゆあさん» マジですか何よりでございますわ!!🥰彼にはただのマブで終わらず頑張ってほしいですね(誰目線?) (2023年4月7日 17時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - もう今回も最高でございましたわ!エースと仲良くなっちゃって!そのままくっつけー!!という願望 (2023年4月6日 22時) (レス) @page20 id: ce509c1850 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ゆあさん» コメントありがとうございます!! 続け方には気を付けてるのでそう言っていただけて何よりです〜〜😭 頑張ります!!💪🏻 (2023年4月4日 12時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
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