P−5◆運命的な出会い? ページ8
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誰もいない。当たり前だが。
思わずホッとため息をつく。
にしてもこのいかにも「出そう」な雰囲気、どうにかならないものだろうか。埃や蜘蛛の巣を払えば少しはマシになると良いのだが。
生憎ながら、Aにはお化け屋敷に住みたい! ……なんていう欲求は無い。もう少し幼ければ楽しめたかもしれない。
「廊下も綺麗にしないと……」
部屋を出る度にくしゃみ地獄に叩き込まれるのはごめんだ。寮の外にまとめておいた掃除用具一式を中に持ち込んでから、大きめのはたきを手に取って玄関から廊下へ一歩足を踏み出す。
──そんな時、Aの近くでガタッと何かの動く物音がした。
「感じた」なんてものじゃない。実際に、明らかに、絶対に、
「!!!」
Aはほとんど反射的に玄関に飛び退いてから、はたきを構えて威嚇するようにあらゆる方向に向けてみせた。
しかしすぐに我に返り、ぶんぶん首を横に振りながら自分に言い聞かせるように心の中で呟く。
──バカバカ私、虫とかネズミとか、そんな感じのが動き回ってるだけで──。
「おやおや〜?」
「!!!!!!」
本当に驚いた時、人間は声を出せない。
そんな学びを噛み締める間もなく、
全身真っ白なのは、埃にまみれているからとは思えない。
全体的に丸っこいフォルムも、おおよそ人間のものとは思えない。
そして、足……足が、無い、のは──。
「きゃあああああ!?!」
やっと、驚愕で締まって通行止めになっていた喉から悲鳴が解放された。飛び跳ねた挙句喉で詰まっていた心臓が、元の位置に落ちる。
──こ、こんなこと、こんなことって。
Aが想定していたのは蜘蛛の巣や廃屋に住み着く何らかの動物との出会い(?)であって、ゴーストとの運命的な出会い(?)は心の底から想定の範囲外だ。
もう2体のゴーストもひょこっと後ろから出てきて、驚きと戸惑いがないまぜになったような声が出る。
まるまると大きなゴースト、骸骨のように顔が骨張った細いゴースト、その2体の間ぐらいの体型のゴースト。
S・M・Lだなぁ、なんて呑気な思い付きがAの頭の中の端っこを通り過ぎていった。
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ヒメアミ(プロフ) - もちうさぎさん» お話が進んだりユニーク魔法とかがお披露目になったりすると多分速攻でバレる(?)と思うんですけど、一応某塔の上のプリンセスを元ネタにしてます……!😌 (2023年4月9日 14時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
もちうさぎ - 夢主ちゃんのモデルって誰ですか! (2023年4月9日 5時) (レス) id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ゆあさん» マジですか何よりでございますわ!!🥰彼にはただのマブで終わらず頑張ってほしいですね(誰目線?) (2023年4月7日 17時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - もう今回も最高でございましたわ!エースと仲良くなっちゃって!そのままくっつけー!!という願望 (2023年4月6日 22時) (レス) @page20 id: ce509c1850 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ゆあさん» コメントありがとうございます!! 続け方には気を付けてるのでそう言っていただけて何よりです〜〜😭 頑張ります!!💪🏻 (2023年4月4日 12時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
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