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ユウ「信じられないぐらい寂しい。スカラビアにいてもこの穴が埋まらない」
グリム「もうオレ様にはどうにもできないんだゾ……」
スカラビアはもちろん楽しい。荘厳で素敵。きらびやか。
でも、隣にライヴさんがいないことだけが気に入らない。寂しい、虚しい。
ぬいぐるみだって、抱えてはいるけど喋らないし、ライヴさんになるわけでもない。
ユウ「寂しさがカンスト……メール送ろ〜っと」
スマホに指を滑らせメールを送信。
"今何してますか、自撮りください"とだけ。すぐに既読がついた後、数分でメールが帰ってきた。
ぬいぐるみの羅列と、裁縫道具、メモ。それだけ。いやライヴさんどこ。
"自撮りは無理。"だって。なんて無慈悲な………こんなにも渇望してるっていうのに……！！
ユウ「……ライヴさんにも、見せてあげたかったなぁ」
カリム「ライヴも今帰ってるんだっけ、今度アイツも招いて宴でもするか！」
ユウ「それは……普通に、やりたい」
カリム「うんうん、決まりだな！」
朗らかに笑うカリム先輩。うぉ〜アニキ………頼れるお兄ちゃんだ…………
熱砂の特産らしいお茶はちょっと俺の口には合わなかった。ライヴさんだったら喜ぶのかなぁ、少しばかり貰えないだろうか。帰りに頼んでみよう。
「ぉ、ライヴの後輩だ」
爽やかそうな先輩に遭遇。彼はカリム先輩に軽く会釈をすると明るく笑った。
グリム「お前、一体誰なんだ？オレ様たちのこと知ってんのか？」
「そりゃあ、ライヴの同寮らしいから。手芸部所属なもんで。よろしくな」
ユウ「よろしくお願いします」
伸ばされた手をそっと交わす。うん、見るからに優しそうな人。類は友を呼ぶってこのことか。
ていうかスカラビア、兄属性しかいない。すごい皆して甘やかしてくれそう。
この人といい、ジャミル先輩といい……世話焼きなのかな。
寮内をほぼ一周し、魔法の絨毯で空を飛んで、帰ってきた頃には夕食の時間になっていた。
ジャミル先輩がカリム先輩を連れていき、オレ等は再び談話室へ歩き出した。
まさか、まさかだよ。スカラビアに軟禁されるとは思わないじゃん。どういう風の吹き回し？？何で俺ら？？ツイてなさすぎる。
ここにライヴさんがいないことが不幸中の幸いだ。
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作者名：諒 | 作成日時：2020年10月16日 20時
