【巨大企画】愛する君へ【実/.況.者】 (ページ15)

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お返しすんなら本命で<towaco> ページ15

チョコレートというものはいつでも恋を拗らせる
毎年毎年そいつに掻き回されていった

私には好いているやつがいる
それに気がついたのは3年前
私達が中学3年の半ばの時やったかな

それから一緒居たくて志望校を一緒にして
同じ高校に入って
あっという間に3年が過ぎた

結局、何も言えず
何もできず
何もかも進展せず
友達のまんま

この女にここまで振り回されて
なんで惚れ込んでしまったんだ、と今更後悔したり

『ねぇ、とわこ』
「ん？なんや」
『チョコ』
「おう、毎年ありがとな」

中学の時から貰っていたチョコ
年を重ねる度に上手くなっていく

『そういやさ、さっき貰ってたね』
「あぁ、2年らしいな」
『へぇ、よく知ってるね』
「風の噂や」
『好きなん？』
「名前も知らんやつなんか好きになれるか」
『うわー、可哀想。あの子可愛いのに』

どれだけ顔が良かろうと、スタイルが良かろうと、私が見てんのはお前だけ
ただ、それは未だに伝わってないらしい
本命じゃなくても毎年貰うこれが愛おしいほどに嬉しいのも知らないんやろうな

『まぁ、お返しは安いので良いから』
「相変わらず図々しいなぁ、お前は」
『でも、なんだかんだ毎年くれるじゃない』
「まぁ、貰ってしまったしな」
『やっぱりとわこって優しいよね。そういうとこ好き』

もちろん恋愛感情としての言葉じゃない
でも、私の心はブスリと射抜かれるわけで
その射抜かれた心ってのは心肺停止になるんじゃないかってほどの大出血中
お前私を殺す気か！

私をここまで重症にさせておきながらあいつは、そそくさと帰ってしまった
なんやあいつ
こっちは赤くならないように必死なんやぞ！？

あくまでも私は冷静を保ちながら家に帰った
ここに居ては私の心が落ち着かない

って心の中で叫んでいたのが一ヶ月前
一ヶ月なんてのは早いもんで
ホワイトデーに何を返すかなんて悩む暇すら与えてくれなかった

そんでもって、青春の3年間を過ごした私達には、卒業式というイベントがあるわけで
大学は別れてしまったもんだからこの日が来るのを密かに恐れていたのは誰にも言えないが

まぁ、そんな卒業式もあっという間に終わって
青春とやらもここで終わりらしい