side 親友 ページ12
「ようやく自覚したのかねえ、あの子は」
木の下に走り、無意識か胸を両手で抑えている友を見て、あたしはそうつぶやいた。誰かに聞こえるような大きさではないが、それは妙に大きく響く。
それにしても、長かった、と思う。彼女たちと出会ったのは小学生の低学年ぐらいだったが、彼ら自身は幼稚園以来の中で、互いに好意を抱き始めたのは、もとい、それにあたしが気づいたのは中学年ぐらいだ。視線を合わせては顔を赤らめて目をそらしていれば、いやでも察するというものだろう。
幼馴染たちはどうも鈍感らしく、互いに抱いている感情が、あたしに抱いている友情と同じものだと思っているらしい。その正体を、ほかにも気づいている子はいるというのに。
やれやれ、とため息を漏らしながら彼のほうを見やる。友である少女を目で追いかけ、ずっと気にしている様子である彼も、自覚は薄い。
(ま、だから見てて楽しいんだけれどね)
この二人の恋路がどうなることやら、それを見守っていくのは、とても楽しくて、幸せなことだから。大切な幼馴染の恋愛模様を見守る権利は、あたしが持っていてもいいはずだ。
夏が始まることを告げる太陽もどこか優しい昼下がり。それは、一緒に二人を見守ってくれているようだった。
九冊目「じゃらされ見とれて春日和」→←八冊目「無自覚恋愛と見守る影」side 無自覚少女
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高空 - 夏蜜柑さん» ありがとうございます！少しずつの更新になりますが暖かく見守って頂ければ幸いです。 (2018年3月4日 14時) (
レス) id: afb8e92214 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - はじめまして！好きです！言葉の選び方がとっても綺麗でもう最高です…！更新楽しみにしてます！！ (2018年2月26日 1時) (レス) id: ec14c5022d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：高空 | 作成日時：2018年2月25日 9時
